味の素(株)とJSR(株)、バイオ医薬用培地事業のグローバル展開での協業に合意

連結子会社である味の素ジェネクシン社(社長:中井 勇太 本社:韓国仁川市 以下AGX社)を通じて、

マテリアルのリーディングカンパニーであるJSR株式会社(CEO:Eric Johnson 本社:東京都港区 以下JSR社)と、

JSR社が開発した新しい高性能培地を味の素社の製品ラインアップに加え、 バイオ医薬用培地事業のグローバル展開において協業することにこの度合意しました。

2022年12月より販売を開始する予定です。

現在、 バイオ医薬品研究開発・製造における細胞培養に不可欠な培地のグローバル市場は、 抗体医薬品やワクチンの需要増、

細胞・遺伝子治療の拡大に伴い年率10%以上伸長しており、 2030年には150億ドル(※1) を超える規模に成長すると予測されています。 これに伴い、

バイオ医薬用として主流となっているCHO細胞株(※2)用培地も、 一層の需要増が見込まれています。

今回の協業において味の素社は、 JSR社のCHO-M細胞株(※2)に最適化した高性能培地の組成譲渡を受け、 AGX社が製品化(製品名「CELLiST(R)

BASAL CHO MX」)・製造・アジアを中心とする市場での販売を実施し、 JSR社は欧米市場における同製品の独占販売権を取得し販売を開始します。

本製品はCHO-M細胞株に加え、 その他CHO細胞株でも、

従来市場に流通している培地製品以上の高い抗体生産性を発揮することが確認されています(味の素社・JSR社調べ)。

味の素グループは、 2020-2025年中期経営計画において、 バイオ医薬用培地事業を重点事業として取り組んでいます。

味の素社は同事業に30年以上取り組んでおり、 リーディングカンパニーとして医薬用・食品用アミノ酸事業を通じて培ってきたバイオプロセス技術、

及び培地の重要原料であるアミノ酸のグローバルサプライチェーンを強みに、 CHO細胞株はじめバイオ医薬用培地の開発・生産・販売の事業を手掛けています。

そして2017年より、 「CELLiST(R)」というブランドで、 アジアを中心にバイオ医薬用培地の販売・マーケティングを展開しています。

JSR社は、 創薬支援サービスなどのライフサイエンス事業に注力しています。 ライフサイエンス事業として、 プロテインAアフィニティ担体Amsphere

A3などを含む下流バイオプロセス向けの材料の研究開発とともに、 創薬支援サービス全般を提供しています。

なお、 両社は、 2022年9月27-30日に米国マサチューセッツ州ボストンで開催されるBioProcess International 2022において、

「CELLiST(R) BASAL CHO MX」の展示を行います。

味の素社執行理事アミノサイエンス事業本部アミノ酸部長Michael Lish氏は、 次のようにコメントしています。

「2014年から高品質なバイオ医薬用培地を韓国にある自社工場から提供してきましたが、 今回、

JSR社の販路を通じて欧米顧客のニーズに応える機会を得て大変光栄です。 この協業は、

培地事業をアミノ酸事業の第2の柱に成長させていく重要な施策と考えております。 」

JSR社の上席執行役員ライフサイエンス事業部長Tim Lowery氏は、 今回の協業に対し、 「高い技術力と高い品質保証体制を持つ味の素社は、

この培地の製品化をしていただくには最適であると考えています」と述べた上で、 「JSR社は素材の技術を核とした会社です。 このコラボレーションにより、

私たちの専門知識をより広くお客様に提供することができ、 『CELLiST(R) BASAL CHO

MX』を北米および欧州市場に提供できることを楽しみにしています」とコメントしています。

味の素社とJSR社は、 今回のグローバル事業展開に向けた協業により、 バイオ医薬用培地事業を強化します。

味の素社は今後もバイオ医薬用培地「CELLiST(R)」の生産・販売を通じて新しい医薬品の開発に寄与し、

“アミノ酸のはたらき”で食と健康の課題解決企業を目指していきます。 JSR社は精緻を極めた最先端テクノロジーカンパニーとして、 Materials

Innovationという企業理念に基づき科学の進歩と実用化を推進していきます。

※1 Aranca社調べ

※2 CHO: Chinese Hamster Ovary(チャイニーズハムスター卵巣)の略。 バイオ医薬品の開発・製造において主に使用されている細胞株。

CHO-M:CHO細胞株の1種。 JSRのライフサイエンス系グループ企業、 Selexis SAが独自に開発。

参 考

■JSR株式会社

JSR株式会社は、 半導体材料を含むデジタルソリューション事業とライフサイエンス事業を中心に技術力を強みとしてグローバルに事業を展開しながら、

世界の先端産業に価値を提供するためのイノベーションを推進し、 社会の課題に応える次世代事業の探索も推進しています。

https://www.jsr.co.jp/

https://www.jsrlifesciences.com/ja/

https://www.linkedin.com/company/jsr-corporation/

■味の素ジェネクシン社(Ajinomoto Genexine Co., Ltd.)

味の素社の子会社である味の素ジェネクシン社は、 2014年に韓国インチョン市にcGMP(current Good Manufacturing

Practice)対応の培地工場を設立しました。 味の素ジェネクシン社は、 CHO細胞株用の細胞培養培地を製造し、 培地CMOサービスも提供しています。

味の素ジェネクシン社が保有する「CELLiST(R)」カスタマーソリューションセンター(CSC)は、

「CELLiST(R)」培地製品改良のための研究開発に加えて、 トラブルシューティングおよびサポートサービスを韓国および世界中のお客様に提供しています。

https://jp.ajinomotogenexine.com/