アストラゼネカのリムパーザ、ベバシズマブとの併用療法においてHRD陽性の進行卵巣がんに対する初回治療後の維持療法として、欧州での承認取得

HRD陽性例における無増悪生存期間中央値は、 リムパーザとベバシズマブの併用療法群では37.2カ月ベバシズマブ単剤療法群では17.7カ月。

進行卵巣がん患者さんの2人に1人が腫瘍組織にHRD陽性を有する。 本資料はアストラゼネカ英国本社が2020年11月5日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、

みなさまのご参考に提供するものです。 本資料の正式言語は英語であり、 その内容・解釈については英語が優先します。

アストラゼネカ(本社:英国ケンブリッジ、 最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ[Pascal Soriot])およびMerck & Co., Inc.,

Kenilworth, N.J., U.S.A(北米およびカナダ以外ではMSD)は、 11月5日、 欧州連合(EU)において、

ベバシズマブとの併用療法におけるリムパーザ(R)(一般名:オラパリブ、 以下、 リムパーザ)が、

相同組換え修復機能不全(HRD)陽性の進行卵巣がん患者さんに対する初回治療後の維持療法として承認されたことを発表しました。

卵巣がんは欧州において5番目に多いがんによる死因であり、 患者さんは進行がん(ステージIIIまたはIV)になってから診断されるケースが多いため、

5年生存率は約45%にとどまります(1-3)。

欧州委員会による今回の承認は、 第III相PAOLA-1試験のバイオマーカーによるサブグループ解析に基づいています。 本試験では、

HRD陽性の進行卵巣がん患者さんに対して、 リムパーザとベバシズマブの併用療法による維持療法で、

ベバシズマブ単剤療法と比較して無増悪生存期間(PFS)が大幅に延長されたことが示されました。 今回の承認は、

2020年9月の欧州医薬品庁(EMA)の医薬品評価委員会(CHMP)による承認勧告(

https://www.astrazeneca.co.jp/content/az-jp/media/press-releases1/2020/2020100601.html

)に続くものです。

Centre Léon Bérardの腫瘍内科医でGINECOグループ(フランス・パリ)の会長であり、

第III相PAOLA-1試験の治験責任医師のIsabelle Ray-Coquard氏は次のように述べています。 「進行卵巣がんの女性にとって、

初回治療の目的は、 長期寛解を達成して病勢進行をできる限り遅らせることではありますが、 残念ながら、 これまでひとたび再発してしまうと、

これらの患者さんの治療は困難となっていました。 PFSの中央値が3年を超えるという大きなベネフィットをリムパーザとベバシズマブの併用療法が示したことから、

EUにおいてHRD陽性患者さんの標準治療となりえます」。

アストラゼネカのエグゼクティブバイスプレジデント兼オンコロジービジネスユニット責任者のDave Fredricksonは次のように述べています。

「新たに進行卵巣がんと診断された患者さんの半数がHRD陽性の腫瘍を有しています。 第III相PAOLA-1試験において、

リムパーザとベバシズマブの併用による治療を受けた患者さんではPFSの中央値が3年を超えたことから、

HRD検査が臨床診断において重要要素であることが示されました。 HRDの状態によって、 医師は患者さんに対して個別の初回治療レジメンを選択することができ、

この深刻な疾患の再発を遅らせることができます」。

MSD研究開発本部シニアバイスプレジデント、 グローバル臨床開発責任者でチーフメディカルオフィサーのRoy Baynesは次のように述べています。

「バイオマーカー検査によって、 この疾患を標的とするPARP阻害の役割に関する理解が急速に進みました。 今回のEUでの承認は、

HRD陽性の進行卵巣がんの特定の患者集団に認められるものであり、 そのような患者さんにとってはHRD検査が非常に重要であることを強く示唆するものです」。

第III相PAOLA-1試験では、 HRD陽性の進行卵巣がん患者さんにおいて、 リムパーザとベバシズマブの併用療法による維持療法によって、

病勢進行または死亡のリスクが67%(ハザード比0.33、 95%信頼区間0.25~0.45)減少することが示されました。

ベバシズマブ単剤療法でのPFS中央値が17.7カ月であったのに対し、 リムパーザを追加することで、 37.2カ月まで延長されました。

PAOLA-1試験のデータは、 2019年にThe New England Journal of Medicine(

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1911361)誌に発表されました。

2020年欧州臨床腫瘍学会のバーチャル会議で最近発表された更なる結果では、

重要な副次評価項目である二次進行までの期間(PFS2)が統計学的に有意に延長されたことが示されました。 リムパーザとベバシズマブの併用療法は、

一次進行以降も有益であることが示され、 ベバシズマブ単剤療法でのPFS2中央値が35.3カ月であったのに対し、

リムパーザとベバシズマブの併用療法では50.3カ月まで延長しました。

EUでのリムパーザの正式な効能効果は、 白金製剤ベースの化学療法とベバシズマブとの併用療法による初回治療により(完全または部分)奏効を示し、

乳がん感受性遺伝子1/2(BRCA1/2)変異および/またはゲノム不安定性のいずれかにより定義されるHRD陽性の進行性(FIGO進行期分類III –

IV期)高異型度上皮性卵巣がん、 卵管がんまたは原発性腹膜がんを有する成人患者さんの維持療法としてのベバシズマブとの併用です。

リムパーザとベバシズマブの併用療法は、 HRD陽性の進行卵巣がん患者さんに対する初回治療後の維持療法として米国で承認(

https://www.astrazeneca.co.jp/media/press-releases1/2020/2020051802.html

)されている他、 数カ国でも承認されており、 現在、 その他の国においても規制当局による審査が進められています。

※進行卵巣がんに対するリムパーザとベバシズマブの併用療法は本邦未承認です。

以上

*****

財務上の考慮事項

今回のリムパーザのEUでの承認をうけて、 アストラゼネカはMSDからマイルストーンの支払いとして2,500万ドルを受領し、

2020年の第4四半期に共同収益として計上します。

卵巣がんについて

2018年には、 欧州で6万8000人近くが新たに卵巣がんと診断され、 約4万5000人が死亡しました(3)。 卵巣がん患者さんの約50%がBRCA1/2

遺伝子変異を含むHRD陽性であり(4,5)、 卵巣がん患者さんの約15%がBRCA1/2遺伝子変異を有しています(6)。 初回治療の主な目的は、

長期寛解を達成して病勢進行をできるだけ遅らせることです(7-9)。

相同組換え修復機能不全(HRD)について

卵巣がんのサブグループであるHRDは、BRCA遺伝子変異をはじめ、 その他多くの遺伝的異常を含みます。BRCA遺伝子変異と同様に、

HRDは正常細胞のDNA修復機構を妨げ、 リムパーザを含むPARP阻害剤に対する感受性をもたらします(10)。

PAOLA-1について

PAOLA-1試験は、 新たにFIGO進行期分類III – IV期の高異型度漿液性または類内膜卵巣がん、 卵管がんまたは腹膜がんと診断され、

白金製剤ベースの化学療法とベバシズマブとの併用療法による初回治療により完全または部分奏効を示した患者さんを対象とし、

初回治療後の維持療法としてリムパーザを標準治療であるベバシズマブに追加した併用療法と、

ベバシズマブ単剤療法の有効性および安全性を比較検討した無作為化二重盲検第III相試験です。 アストラゼネカとMSDは、

本試験において全試験集団が主要評価項目であるPFSを延長したことを2019年8月に発表(

https://www.astrazeneca.co.jp/content/az-jp/media/press-releases1/2019/2019082201.html

)しています。

リムパーザについて

リムパーザ(一般名:オラパリブ)はファーストインクラスのPARP阻害剤であり、BRCA1および/またはBRCA2

遺伝子変異などの相同組換え修復(HRR)の欠損を有する細胞または腫瘍のDNA損傷応答(DDR)を阻害する最初の標的治療薬です。 リムパーザによるPARP阻害は、

DNA一本鎖切断に結合するPARPを捕捉し、 複製フォーク停止と崩壊を惹起することで、 DNA二本鎖切断を起こしがん細胞を死滅させます。

リムパーザはDDR経路に異常をきたした一連のPARP依存性の腫瘍タイプにおいて試験が進行中です。

リムパーザは、 白金製剤感受性再発卵巣がんの維持療法として、 現在EU諸国を含む多くの国で承認されており、 白金製剤ベースの化学療法に奏効後のBRCA

遺伝子変異陽性進行卵巣がんの初回治療後の維持療法としても米国、 EU、 日本、 中国およびその他数カ国において承認されています。 米国においては、

HRR機能不全陽性進行卵巣がん(BRCAmおよび/またはゲノム不安定性)患者さんに対するベバシズマブとの併用療法が初回治療後の維持療法としても承認されました。

また、 化学療法による治療歴のある生殖細胞系列のBRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の転移性乳がんの適応症でも米国、

日本を含む多くの国において承認されており、 EUにおいては、 局所進行乳がんも含まれます。 さらに、 米国、 欧州およびその他数カ国においては、 生殖細胞系列の

BRCAm転移性膵がんの治療薬としても承認されています。 また、 米国においては、 HRR関連遺伝子変異を有する転移性去勢抵抗性前立腺がん(BRCA

mおよびその他のHRR関連遺伝子変異陽性)の治療薬として承認されました。 加えて、 卵巣がん、 乳がん、

膵がんおよび前立腺がんに関する薬事承認審査が他の国において進行中です。

アストラゼネカとMSDが共同で開発と商業化を行っているリムパーザは、 全世界で3万人を超える患者さんの治療に使用されています。

リムパーザはPARP阻害剤として最も広範かつ最先端の臨床試験開発プログラムを有しており、 アストラゼネカとMSDは、 さまざまながん種にわたり、

リムパーザが単剤療法および他の薬剤との併用療法としてPARP依存性腫瘍に及ぼす影響を解明するために協業しています。 リムパーザはDDRを標的とした新薬であり、

アストラゼネカのポートフォリオを牽引する基盤となる薬剤です。

アストラゼネカとMSDのがん領域における戦略的提携について

2017年7月、 英国アストラゼネカ社とMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J.,

U.S.A(北米およびカナダ以外ではMSD)は、 世界初のPARP阻害剤であるリムパーザおよび現在開発中であるMEK阻害剤セルメチニブについて、

複数のがん種において共同開発・商業化するがん領域における世界的な戦略的提携を発表しました。 両社は、

リムパーザおよびセルメチニブを他の可能性のある新薬との併用療法および単剤療法として共同開発します。 なお、 リムパーザおよびセルメチニブと、

各々の会社が保有するPD-L1またはPD-1阻害薬との併用療法は各々の会社で開発します。

アストラゼネカにおけるオンコロジー領域

アストラゼネカはオンコロジー領域において歴史的に深い経験を有しており、

患者さんの人生と当社の将来を変革する可能性のある新薬ポートフォリオを数多く保有しています。 2014年から2020年までの期間に7つの新薬発売を予定し、

低分子・バイオ医薬品の広範な開発パイプラインを有する当社は、 注力する肺がん、 卵巣がん、 乳がんおよび血液がんに焦点を当て、

成長基盤としてオンコロジー治療を進展させることに尽力しています。

アストラゼネカは、 がん免疫治療、 腫瘍ドライバー遺伝子変異と耐性メカニズム、 DNA損傷修復および抗体薬物複合体の4つの科学的基盤を強化し、

個別化医療を推し進める併用療法の開発に挑戦し続けることでがん治療のパラダイムを再定義し、 将来的にはがんによる死亡をなくすことをビジョンに掲げています。

アストラゼネカについて

アストラゼネカは、 サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、 主にオンコロジー、 循環器・腎・代謝疾患、

および呼吸器・自己免疫疾患の3つの重点領域において、 医療用医薬品の創薬、 開発、 製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。

英国ケンブリッジを本拠地として、 当社は100カ国以上で事業を展開しており、 その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。 詳細については

https://www.astrazeneca.comまたは、

ツイッター@AstraZeneca(英語のみ)をフォローしてご覧ください。

References

1. EuroHealth. (2018). Ovarian Cancer: The Silent Killer. Available at:

https://eurohealth.ie/policy-brief-women-and-ovarian-cancer-in-the-eu-2018/

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2. ECIS. (2020).Estimates of cancer incidence and mortality in 2020, for all

cancer sites. Available here [Accessed October 2020].

3. The World Health Organization. IARC. Globocan. (2018). Available at:

http://gco.iarc.fr/[Accessed October 2020].

4. Moschetta et al. (2016). BRCA somatic mutations and epigenetic BRCA

modifications in serous ovarian cancer. Annals of Oncology, 27(8), pp.1449-1455.

5. Bonadio et al. (2018). Homologous recombination deficiency in ovarian cancer:

a review of its epidemiology and management. Clinics, 73(Suppl 1): e450s.

6. Ramus. (2009). The Contribution of BRCA1 and BRCA2 to Ovarian Cancer.

Molecular Oncology, 3(2), pp.138–150.

7. Raja et al. (2012). Optimal first-line treatment in ovarian cancer. Annals on

Oncology. 23 Suppl 10, x118-127.

8. NHS Choices, Ovarian Cancer Available at:

https://www.nhs.uk/conditions/ovarian-cancer/treatment/[Accessed October

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9. Ledermann et al. (2013). Newly diagnosed and relapsed epithelial ovarian

carcinoma: ESMO Clinical Practice Guidelines for diagnosis, treatment and

follow-up. Annals of Oncology, 24, pp.vi24-vi32.

10. Moore, K. (2018). Maintenance Olaparib in Patients with Newly Diagnosed

Advanced Ovarian Cancer. New England Journal of Medicine, 379(26), pp.2495-2505.

プレスリリースは以下よりダウンロードできます。

https://prtimes.jp/a/?f=c-24308-2020111512-ce65b0051704b850d20c0dbc363be3a0.pdf

当リリースの詳細について

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000255.000024308.html

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