第8回高校生直木賞決定! 伊吹有喜『雲を紡ぐ』

5月30日、 高校生直木賞実行委員会(文部科学省ほか後援 代表・伊藤氏貴 明治大学教授)より、 第8回高校生直木賞が発表され、 伊吹有喜さんの『雲を紡ぐ』

(文藝春秋 2020年1月刊)が、 加藤シゲアキさんの『オルタネート』(新潮社)とともに受賞作に選ばれました。 高校生直木賞で、 二作同時受賞は初めて。 また、

伊吹さんは初ノミネートでの受賞となります。

『雲を紡ぐ』カバー

『雲を紡ぐ』カバー

◆作品概要

高校二年生の山崎美緒は、 いじめが原因で学校に行けなくなっていた。 岩手県・盛岡市で工房を営む祖父母が贈ってくれた赤いショールにくるまっているときにだけ、

心の安らぎを感じていた。 ある日、 母に赤いショールを奪われたことで口論となり、 美緒は家を飛び出し、 盛岡の祖父の家に逃げ込む。 祖父は美緒にこう問う。

「好きなものは何だ?」「好きなものを見つけなさい」毛織物の職人の仕事ぶりを見るうちに、 美緒は自分でも「ホームスパン」を作りたいと考え、 入門を決意する。

工房の仕事にも慣れ、 元気を取り戻していく美緒だが、 盛岡を訪れた母と激しく衝突する。 一方、 美緒の両親である広志と真紀夫婦も、 問題を抱えていた。

美緒が不在となり、 「二人の溝」が表面化したのだった。 とてもみじかい「家族の時間」が終わろうとしていた――。

◆著者略歴伊吹有喜さん(撮影 文藝春秋)

伊吹有喜さん(撮影 文藝春秋)

伊吹 有喜(いぶき ゆき)

三重県生まれ。 中央大学法学部卒業。 出版社勤務を経て、 2008年『風待ちのひと』で第3回ポプラ社小説大賞特別賞を受賞しデビュー。

10年刊行の『四十九日のレシピ』が翌年ドラマ化、 13年に映画化され、 大きな話題に。 また14年『ミッドナイト・バス』が直木賞候補、 18年に映画化。

同年『彼方の友へ』が直木賞候補、 吉川英治文学新人賞候補、 20年『雲を紡ぐ』が直木賞候補、 21年『犬がいた季節』が山本周五郎賞候補、 本屋大賞候補となる。

◆伊吹有喜さんコメント

このたびは高校生直木賞に『雲を紡ぐ』を選出していただき、 ありがとうございます。

本の世界は果てしなく、 ページをめくれば古今東西のあらゆる出来事を体験し、 たくさんの登場人物たちと心を通わせることができます。

これからも本の旅をぜひ続けていってください。 皆様の道中が喜びに満ちたものでありますように! そしてその中の一冊にこれからも私の作品が入っていたら、

このうえなく光栄で嬉しいです。

◆高校生直木賞とは

フランスには、 読書教育の一環として30年以上にわたって行われている「高校生ゴンクール賞」(毎年2000人を超えるフランスの高校生たちが参加し、

権威ある仏ゴンクール賞の候補作の中から自分たちなりの1作を選ぶ)があります。 その日本版を目指して2014年5月に第1回(受賞作

伊東潤『巨鯨の海』)が開催されました。

2020年8月には、 32校が参加し、 第7回受賞作 大島真寿美『渦 妹背山婦女庭訓魂結び』が選ばれました。

◆第8回 高校生直木賞 参加校(全32校)

立命館慶祥高等学校(北海道江別市)

北海道函館西高等学校(北海道函館市)

岩手県立盛岡第四高等学校(岩手県盛岡市)

茨城キリスト教学園高等学校(茨城県日立市)

渋谷教育学園幕張高等学校(千葉県千葉市)

埼玉県立浦和第一女子高等学校(埼玉県さいたま市)

埼玉県立所沢高等学校(埼玉県所沢市)

聖学院高等学校(東京都北区)

東京成徳大学高等学校(東京都北区)

豊島岡女子学園高等学校(東京都豊島区)

成城高等学校(東京都新宿区)

渋谷教育学園渋谷高等学校(東京都渋谷区)

東京都立富士高等学校(東京都中野区)

麻布高等学校(東京都港区)

田園調布学園高等部(東京都世田谷区)

国際基督教大学高等学校(東京都小金井市)

晃華学園高等学校(東京都調布市)

東京都立国立高等学校(東京都国立市)

横浜富士見丘学園高等学校(神奈川県横浜市)

向上高等学校(神奈川県伊勢原市)

横須賀学院高等学校(神奈川県横須賀市)

加藤学園暁秀高等学校(静岡県沼津市)

藤枝明誠高等学校(静岡県藤枝市)

静岡県立磐田南高等学校(静岡県磐田市)

名古屋大学教育学部附属高等学校(愛知県名古屋市)

愛知県立昭和高等学校(愛知県名古屋市)

豊川高等学校(愛知県豊川市)

滋賀県立彦根東高等学校(滋賀県彦根市)

清教学園高等学校(大阪府河内長野市)

愛媛県立八幡浜高等学校(愛媛県八幡浜市)

筑紫女学園高等学校(福岡県福岡市)

鹿児島県立松陽高等学校(鹿児島県鹿児島市)

『雲を紡ぐ』

著者:伊吹有喜

初出:「別冊文藝春秋」325 号(2016 年 8 月号)~335 号(2018 年 4 月号)

2020 年 1 月 23 日、 文藝春秋刊

定価:1,925 円(税込)

ISBN:978-4-16-391131-1

https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163911311