メトセラ、心臓内幹細胞を用いた再生医療等製品を開発する株式会社日本再生医療を完全子会社化

メトセラは本買収を通じ、小児先天性心疾患を対象とした自家細胞製品をパイプラインに追加するとともに、再生医療等製品の臨床開発体制を大幅に強化

株式会社メトセラ(本社:神奈川県川崎市)は、 業務提携先であるキッズウェル・バイオ株式会社(以下、 「キッズウェル・バイオ」といいます。 )より、

同社の完全子会社である株式会社日本再生医療(以下、 「JRM」といいます。 )の全株式を取得いたしました(以下、 「本買収」といいます。 )。 また、

キッズウェル・バイオとのパートナーシップを更に強化するため、 同社を引受先として新規株式を発行いたしました。

JRMについて

JRMは、 小児先天性心疾患を軸とした重篤な心疾患に対する新たな治療法を提供するため、 心臓内幹細胞(以下、 「CSC」といいます。

)を用いた再生医療等製品「JRM-001」の開発を推進しています。 現在は、 小児先天性心疾患の中でも年間400~500名程度が発症する機能性単心室症に対し、

外科的修復術後の心機能改善を評価する第三相臨床試験の実施を通じ、 早期の製造販売承認を目指しています。

機能的単心室症に対する一般的な治療法として外科手術が実施され、 近年では術後生存率は向上しつつありますが、 手術後

90%の患者様が40歳までに心機能低下や心不全などを発症し、 25年生存率は70%程度と病状が重い疾患です。

機能的単心室症に対するCSCを用いた治療法については、 既に岡山大学においてヒト幹細 胞臨床研究として実施された第1相臨床試験及び第2相臨床試験において、

その安全性と有効性を示唆する研究成果が報告されています。

本買収の狙い

2016年の創業以来、 当社は”Revolutionizing the way we treat heart failure. / 心不全治療に革命を起こす。

” をミッションとして、 心不全を対象とした新たな自家細胞製品の研究開発に取り組んでおります。 当社のリードアセットである「MTC001」は、

VCAM1陽性心臓線維芽細胞(以下、 「VCF」といいます。 )を用いた自家細胞治療で、

非臨床試験において損傷した心臓組織の再生を促すなどの良好な治療効果を確認しています。

当社は更なる研究開発活動の加速を目的として、 2022年1月19日にキッズウェル・バイオと業務提携を締結し、 双方の再生医療領域における経営資源、 知見、

技術の交流を行ってまいりました。 その結果、 CSCを用いた再生医療等製品について、

自家細胞製品開発における経験・ノウハウ等の蓄積及び充実した研究開発体制を有する当社が主体となって進めることがJRMの今後の事業成長において最適であるとの合意に達しました。

本買収により、 当社は製品開発ポートフォリオの拡充を実現します。 小児心不全向けCSCと慢性心不全向けVCFは、

どちらも患者由来の細胞を用いる自家細胞をカテーテルにより投与するという共通点を有し、

免疫応答性の高い心臓には「免疫抑制剤を用いない自家細胞のカテーテル投与が最も理想的」という当社の考え方にも合致します。

これらのパイプラインを一体的に開発することで、 幅広い心疾患に対する切れ目のないパイプライン開発を実現出来るとともに、

将来的には製造ノウハウや販売体制の共有などにおいて幅広いシナジーの享受が可能となります。

MTC001の臨床開発体制についても、

JRMがこれまでJRM-001開発のために構築してきた自家再生医療等製品の治験実施体制および臨床開発の知見をそのまま引き継ぐことにより、

飛躍的に強化することが可能となります。 今後は、 当社とJRMの組織を融合し、 一体となってMTC001の国内外における開発の加速と、

JRM-001の臨床試験完了を目指す計画です。

なお、 本買収の対価の一部として、 JRMの再生医療等製品の売上高に応じた一定のロイヤリティをキッズウェル・バイオに対して支払うことに合意しており、

今後もキッズウェル・バイオによるJRMの支援は継続されます。

キッズウェル・バイオへの株式発行を通じた連携強化について

当社は、 キッズウェル・バイオと締結済みの業務提携をさらに深めるため、 同社を引受先として第三者割当により新規株式を発行しました。

既に乳歯歯髄幹細胞(SHED)マスターセルバンク構築に取り組んでいる同社の知見を、

当社およびJRMのVCFおよびCSC事業の拡大に活かすなどの取り組みを視野に、 連携強化の協議を更に深めてまいります。

MTC001の開発加速に向けた資金調達の実施について

当社は、 MTC001の開発加速に向けて、

大阪大学ベンチャーキャピタル株式会社と東北大学ベンチャーパートナーズ株式会社の2社より追加の資金調達を実施いたしました。 本調達の詳細については、

本日付の「メトセラ、 大学VC2社からの資金調達を実施」のプレスリリースをご確認ください。

JRMの概要

商号:株式会社日本再生医療

設立:2013年10月

事業内容:再生医療技術・製品、 細胞医薬品の研究開発

メトセラについて

メトセラは、 既存治療による効果が不十分な慢性疾患に対して、

線維芽細胞及び幹細胞を用いた新たな治療法を提供することを目指す臨床開発ステージのスタートアップです。 2016年の設立以来、

心臓線維芽細胞(VCAM1陽性心臓線維芽細胞、 VCF)をはじめとする自社創薬シーズの研究開発に取り組んでいます。

リードパイプラインであるMTC001はVCFと投与用の新規カテーテルを組み合わせたコンビネーション製品です。 本製品は、 (1)自家細胞であり、

心臓のように免疫応答性の高い臓器にも免疫抑制剤不要で投与出来ること、

(2)VCF投与用に設計されたカテーテルにより細胞を確実かつ安全に投与できるという2つの大きな優位性があります。 2021年6月にはMTC001を用いて、

慢性虚血性心不全患者に対する第I相医師主導治験が開始されています。