性疼痛からの自然回復に必要な細胞を世界で初めて発見!~ミクログリア細胞の驚くべき変化~

国立遺伝学研究所、 日本医療研究開発機構(AMED)、 塩野義製薬の共同研究成果です! 2022(令和4)年 4月 7日

国立大学法人岡山大学

https://www.okayama-u.ac.jp/

<発表のポイント> * 神経が傷つくと、 非常に長引く痛み(神経障害性疼痛)を発症する。 マウスでも神経損傷後に慢性疼痛を発症するが徐々に痛みが和らいでいく。

しかしその自然回復のメカニズムは不明だった。

* 本研究では、 自然回復に必要な細胞(ミクログリア細胞が変化したサブグループ)を世界で初めて発見。

* 今後、 ミクログリア細胞のサブグループを標的にした、 慢性疼痛に有効な新しい鎮痛薬の開発に期待。

◆概 要

がんや糖尿病、 帯状疱疹、 脳梗塞などで神経が傷つくと、 非常に長引く痛みを発症する場合があります。 この慢性疼痛は神経障害性疼痛と呼ばれ、

解熱鎮痛薬などの一般的な薬では抑えることができず、 モルヒネのような強い薬でも効かないことがあり、 治療に難渋する痛みです。

基礎研究に用いるマウスでも、 ある神経を傷つけると数日で痛みが出現し、 数週間持続する慢性疼痛を発症します。 しかし、 この場合、 不思議なことに、

神経の傷は治っていないのにその痛みは徐々に和らいできます。 なぜ、 痛みが自然に弱くなっていくのか、 そのメカニズムはこれまで不明でした。

九州大学大学院薬学研究院の津田誠主幹教授、 同薬学府の河野敬太大学院生(当時)、 白坂亮二大学院生、 同薬学研究院の増田隆博准教授らの研究チームは、

同高等研究院および生体防御医学研究所、岡山大学、 情報・システム研究機構 国立遺伝学研究所、 及び塩野義製薬株式会社との共同研究により、

痛みからの自然回復に必要な細胞を世界で初めて発見しました。 驚くことに、

この細胞はこれまで痛みの発症原因とされてきたミクログリア細胞の一部が変化したものであり、 その細胞を無くしたマウスでは痛みからの回復が起こらず、

長い間痛みが持続しました。 このミクログリア細胞がIGF1という物質を作り出し、 それが痛みを和らげることも明らかにしました。

今回の成果から、 これまで痛みの発症に関わるとされてきたミクログリア細胞の新たな側面が明らかになり、 今後、

今回特定したサブグループを増やす化合物やIGF1(insulin-like growth factor 1)を多く作り出す化合物が見つかれば、

神経障害性疼痛などの慢性疼痛に有効な治療薬の開発につながることが期待されます。

本研究成果は、 米国科学雑誌「Science」オンライン版に2022年3月31日(木)14時(米国時間)に掲載されました。

図. これまでの研究から、 神経がダメージを受けると脊髄でミクログリアが活性化して神経障害性疼痛が発症することが知られていました。 今回の研究では、

そのミクログリア細胞の一部が変化し、 徐々にIGF1という物質を作るようになり、 それが痛みを和らげていることを明らかにしました。

◆論文情報

タイトル:A spinal microglia population involved in remitting and relapsing

neuropathic pain

著 者 名:Keita Kohno, Ryoji Shirasaka, Kohei Yoshihara, Satsuki Mikuriya, Kaori

Tanaka, Keiko Takanami, Kazuhide Inoue, Hirotaka Sakamoto, Yasuyuki Ohkawa,

Takahiro Masuda, Makoto Tsuda

掲 載 誌:Science

D O I:10.1126/science.abf6805

U R L:

https://www.science.org/doi/10.1126/science.abf6805?__cf_chl_tk=v2QbjIdwbM32NrSIo9UgTlwQirMmOOU13hGXQHPGH0c-1649338612-0-gaNycGzNCX0

◆詳しいプレスリリースについて

慢性疼痛からの自然回復に必要な細胞を世界で初めて発見!~ミクログリア細胞の驚くべき変化~

https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r4/press20220401.pdf

◆本件お問い合わせ先

<研究に関すること>

九州大学 大学院薬学研究院 主幹教授 津田誠(ツダマコト)

TEL:092-642-6628

FAX:092-642-6566

<岡山大学の研究担当者>

岡山大学 学術研究院 自然科学学域(牛窓臨海)准教授 坂本浩隆

〒701-4303 岡山県瀬戸内市牛窓町鹿忍130-17 岡山大学理学部附属牛窓臨海実験所

TEL:0869-34-5210

FAX:0869-34-5211

https://www.science.okayama-u.ac.jp/~rinkai/index.html

<報道に関すること>

九州大学 広報室

TEL:092-802-2130

FAX:092-802-2139

岡山大学 総務・企画部 広報課

TEL:086-251-8415

FAX:086-251-7294

国立遺伝学研究所 リサーチ・アドミニストレーター室 広報チーム

TEL:055-981-5873

FAX:055-981-9418

<AMED事業に関すること>

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国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています。

また、

政府の第1回「ジャパンSDGsアワード」特別賞を受賞しています

国立大学法人岡山大学は、 国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています。 また、 政府の第1回「ジャパンSDGsアワード」特別賞を受賞しています

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