ハリウッドにおける性暴力事件を明らかにした傑作ノンフィクション『その名を暴け #MeTooに火をつけたジャーナリストたちの闘い』が待望の文庫化

園子温、榊英雄、木下ほうからが告発され、あの水原希子も声を上げた! 邦画界にも#MeTooの波が届いた今こそ読むべきルポルタージュが新潮文庫から刊行されました

ハリウッドの有名プロデューサー、 ハーヴェイ・ワインスタインは、 長年にわたって多数の女優や従業員らに対して性的虐待を行なってきた――。

グウィネス・パルトロー、 アシュレイ・ジャッドらハリウッド・セレブも声を上げたことで世界に衝撃を与え、 #MeToo運動のきっかけを作った記事を書いたのは、

二人の女性記者でした。 ピュリッツァー賞受賞記事の内幕を描く調査報道ノンフィクションの傑作『その名を暴け

#MeTooに火をつけたジャーナリストたちの闘い』(ジョディ・カンター、 ミーガン・トゥーイー著 古屋美登里訳)が新潮文庫化されました。

ようやく日本にも#MeTooの波が届いた今こそ読むべき作品です。

現在、 邦画界に吹き荒れる#MeTooの嵐。 映画監督の園子温、 榊英雄、 俳優の木下ほうからが、

複数の女性たちから「性的関係を強要された」と週刊誌上で告発され大きな問題になりました。 是枝裕和監督、 西川美和監督らがこうした性加害報道を受け、

「私たちは映画監督の立場を利用したあらゆる暴力に反対します」と連名で声明を発表。

ついには人気女優の水原希子も自らがプロデューサーから受けたハラスメントについて声を上げるに至り、

日本映画界において女性たちが性的に搾取され続けてきた構造が明らかになりつつあります。

本書『その名を暴け』は、 映画プロデューサー、 ハーヴェイ・ワインスタインの性的虐待を暴き、

#MeToo運動が加速するきっかけを作った二人の女性記者によるノンフィクションです。

ワインスタインの性暴力はハリウッドでは公然の秘密でした。 しかしながら、 なぜ長い間明るみに出なかったのか。 それは、 彼の業界における強大な権力を前に、

キャリアを積もうとする女性たちは口をつぐまされ泣き寝入りせざるを得なかったからです。 しかしながら二人の記者、 ジョディとミーガンは、

多数の被害者たちに接触を試み、 説得し、 取材を重ねることで、 次第にワインスタインの犯罪の証拠を固めていきます。

報道が世に出るやいなや世間に大きな衝撃を与え、 アメリカ中の女性たちが自分たちが受けた性被害について声を上げ始めました。

最高裁判事に立候補したブレット・カバノーから高校時代に性的暴行を受けた、 と告発したクリスティン・ブレイジー・フォードもその一人。 こうして火がついた#Me

Too運動は次第に社会を変革していきます。

「勇気を出して声を上げた被害者を叩く」という風潮が未だに残る日本。

ジャーナリスト山口敬之氏から受けた性暴力被害を告発した伊藤詩織氏がSNS上で中傷被害を受けたのも記憶に新しいです。 しかし今回邦画界で起きた#MeTooは、

日本社会全体にも広がっていくのでしょうか。

なお本作はキャリー・マリガンとゾーイー・カザン主演で映画化され、 2022年11月18日にアメリカで公開が決まりました(原題「She Said」)。

日本での公開は2023年に予定されています。

■著者紹介

Jodi Kantor ジョディ・カンター

Megan Twohey ミーガン・トゥーイー

ともに「ニューヨーク・タイムズ」紙の調査報道記者。 カンターは職場問題が専門、 2度の大統領選挙の取材に従事。 著書に『The Obamas』がある。

トゥーイーは女性や子供の問題を得意分野とし、 2014年にピュリッツァー賞調査報道部門の最終候補者に。

二人は本書の基となったワインスタインについての調査報道で多くの賞を受賞し、 ジャーナリズムの分野で最高の名誉とされるジョージ・ポルク賞や、

「ニューヨーク・タイムズ」としてピュリッツァー賞公益部門を受賞している。

■訳者紹介

古屋 美登里

訳書に『ぼくには数字が風景に見える』『帰還兵はなぜ自殺するのか』『スヌーピーの父 チャールズ・シュルツ伝』など多数。 著書に『雑な読書』『楽な読書』がある。

■書籍データ

【タイトル】その名を暴け #MeTooに火をつけたジャーナリストたちの闘い

【著者名】ジョディ・カンター、 ミーガン・トゥーイー著 古屋美登里訳

【発売日】4月26日

【造本】文庫

【定価】1045円

【ISBN】978-4-10-240181-1

【URL】

https://www.shinchosha.co.jp/book/240181/