海外初となる中国・海南島医療特区へのBNCT導入に関するお知らせ

以下「住友重機械工業」)及びステラファーマ株式会社(本社:大阪市中央区、 代表取締役社長:上原幸樹、 以下「ステラファーマ」)は、

中国生物科技服務控股有限公司(香港証券取引所 Stock Code:8037)及び同社傘下の鵬博(海南)硼中子医療科技有限公司(以下「Pengbo社」)と、

中国・海南博鰲(ボアオ)楽城国際医療旅遊先行区(以下「海南島医療特区」)へのBNCTの導入に向けて、

住友重機械工業はBNCT治療システム「NeuCure(R)」及びBNCT線量計算プログラム「NeuCure(R)ドーズエンジン」の導入に関する販売契約を、

ステラファーマはBNCT用ホウ素医薬品「ステボロニン(R)」の供給に関する基本契約をそれぞれ締結いたしました。

海南島医療特区は、 医療ツーリズムの促進を目的とした規制緩和特別区域であり、 医療機器及び医薬品の輸入に関する優遇措置がとられています。 最大の特徴として、

医療機器及び医薬品の使用に際しては、 中国においても通常は日本国内と同様に治験を行った上で申請を行い、

規制当局から承認を取得するプロセスを経る必要があることに対し、 本制度においては中国国内の未承認品であっても他国で既に承認を取得し、

かつ臨床的に緊急に必要とされる医療機器・医薬品については、 指定医療機関での使用を前提に輸入許可が認められるものです。 これにより、 臨床試験を行わず、

実臨床での治療が可能となっています。

今回、 世界で唯一、 承認を取得しているNeuCure(R)とステボロニン(R)を組み合わせたBNCTがこの制度を利用して、 中国に導入されることとなりました。

Pengbo社は、 海南島医療特区において、 今後、 医療機関関連業務従事ライセンスを取得し、 指定医療機関(以下「BNCTセンター」)を設立します。

既にその建設予定地の土地の取得は終えており、 BNCTセンターの建設及びBNCT治療システム「NeuCure(R)」の設置完了後、

2025年度からBNCTの開始を計画しています。

治療の対象となる疾患は国内で承認を得ている「切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部癌(以下「局所の頭頸部癌」)を予定しています。

中国における頭頸部癌全体の患者は年間14万人程度とされ、 海外においても、 適応を待たれる患者様に対し、

がん治療の新たな選択肢としてBNCTを展開してまいります。

また、 今後、 日本国内で新たに適応疾患が承認された場合は、 局所の頭頸部癌と同様に海南島医療特区での治療も可能となります。 さらに、

海南島医療特区のBNCTセンターにおける実臨床データは、 関連規定に沿った管理、 研究、 分析、 評価等を行うことで、 中国本土での承認申請にも活用できます。

このように、 海南島医療特区への進出を足掛かりとして、 BNCTの中国展開を推し進めてまいります。BNCTセンター建屋外観(イメージ図)

BNCTセンター建屋外観(イメージ図)

BNCTセンター建屋外観(イメージ図)

BNCTセンター建屋外観(イメージ図)

調印式の模様

調印式の模様

【BNCT(Boron Neutron Capture Therapy:ホウ素中性子捕捉療法)】

BNCTは、 がんの放射線治療の一種であり、 その治療法は、

がん患者にがん細胞に選択的に取り込まれるホウ素(Boron-10)を含有するBNCT用ホウ素薬剤を投与し、

がん細胞内にホウ素(Boron-10)を選択的に取り込ませた後、 体外からエネルギーの低い中性子を照射するというものです。 このとき、

体内ではホウ素(Boron-10)原子核が中性子を捕獲して核分裂反応を起こし、

この核反応により細胞にダメージを与えるエネルギーをもつα粒子(ヘリウム原子核)とLi反跳核(リチウム原子核)が放出されます。 これらの荷電粒子は、

体内ではそれぞれ約9μmおよび約4μmの飛程しか持たず、 この飛程はおよそ細胞1個分の大きさに相当します。 これらの特徴により、 理論的には、

周囲の正常な細胞等をほとんど傷つけることなく、 ホウ素(Boron-10)を取り込んだがん細胞を細胞レベルで選択的に破壊することが可能となります。

【BNCT治療システム:NeuCure(R)(ニューキュア)】

NeuCure(R)は、

住友重機械工業が約50年間にわたり蓄積してきた物理研究用および医療用サイクロトロンとそのビーム制御技術にもとづいて開発した高電流タイプ30MeV

AVFサイクロトロンとそのビーム制御システムをベースに、

2007年から開始した京都大学複合原子力科学研究所(大阪府泉南郡熊取町)との共同研究により開発した医療用中性子照射装置です。

サイクロトロンから取り出される陽子ビームを中性子に変換するターゲットにはベリリウムを用い、 医療機関などに求められる安全性、 安定性に優れているのが特徴で、

病院内への設置が病院内への設置が可能になりました。

【BNCT用ホウ素医薬品:ステボロニン(R)】

ステラファーマの開発品であるステボロニン(R)は、

BNCTに必要な高純度(99%以上)Boron-10を含む「ボロファラン(10B)」を原薬として製造しています。 ボロファラン(10B)は、

必須アミノ酸であるフェニルアラニン又はチロシンと構造が似ているため、

がん細胞特有のアミノ酸トランスポーターであるLAT-1を介してアミノ酸要求性の高いがん細胞に取り込まれます。 これにより、

がん細胞に選択的にBoron-10が集積し、 かつ中性子線を照射した際により大きな効果を得ることが可能となります。

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