より高品質な獺祭と生産者の未来のため、獺祭は酒米”山田錦”の独自検査を開始します

より良い米をより高い価格で。 旭酒造は2022年秋以降の山田錦の購入に際し、 「獺祭」独自の検査を行い、 今までの購入価格の30%増額した価格で購入します

一俵35,000円、 現行の3割増し

純米大吟醸ブランド「獺祭」を製造する旭酒造株式会社(本社:山口県岩国市、 代表取締役社長:桜井一宏)は、 2022年秋以降に収穫される山田錦の購入に際して、

購入後に独自に検査を行い、 高精白に適しているという視点での品質基準を達成している山田錦について、 一俵(60kg)を35,000円で購入する事といたします。

この価格は現在の一般的な山田錦の購入価格と比較して、 約1万円(30%以上)高い買い取り価格となります。

現状の基準の先を目指して

今まで「獺祭 純米大吟醸 磨き二割三分」およびそれ以上のランクの獺祭については、 穀物検査の基準で一等以上に認定された山田錦のみを使用してきました。 ただ、

旭酒造としては現状の検査基準が完全無欠のものとは思っていません。

特に高精白(※低い精米歩合になるまで磨いている状態)に耐えうるという視点に関しては、 高精白の酒が大きく増加している現状と、

基準が出来た当初とでは状況が変わってきており、 そこに対して合致していると言いにくいのも確かです。

日本酒が世界に出ていく上で、 高精白というのは大きな武器の一つです。 そこに適した米を作る事は、 日本酒が世界でより評価を受けることにもつながります。

そしてそれは結果的に栽培量の増加という、 生産者の未来につながります。

* 参考資料 2020年の清酒輸出に占める特定名称酒の割合

出所:国税庁課税部酒税課「酒類製造業及び酒類卸売業の概況」令和4年4月

https://www.nta.go.jp/taxes/sake/shiori-gaikyo/seizo_oroshiuri/r03/pdf/all.pdf

現状生産者が取り組んでいる米作りは、 現行の穀物検査基準をベースにしたものであり、 そこから踏み出した新しい栽培方法にチャレンジすることは、

試行錯誤も必要な上、 栽培方法によっては、 現状より収量が落ちる、 等級が下がるなどのリスクがあります。

「そのリスクを私達がお手伝いすることで共に乗り越えていきたい、生産者と共に未来に挑みたい、 私たちもより良くなる米でより美味しい酒を造りたい」との思いで、

一度私どもで購入させて頂いた山田錦を自社で独自に検査させて頂き、一定の基準を満たした米については現状の穀物検査によって算定された価格に追加してお支払いさせて頂く

ことを決定いたしました。

【背景】

2019年から旭酒造が実施している「最高を超える山田錦プロジェクト」では、 全国の山田錦生産者の皆様が造る山田錦の中からグランプリを選定し、 そのお米で「獺祭

最高を超える山田錦優勝米(英語名DASSAI Beyond the Beyond)」を醸してきました。

このプロジェクトを通じて最高の山田錦で造る純米大吟醸を追求する中で、 高精白の吟醸酒がほぼ存在しなかった数十年前に制定された、 昔の酒米の等級制度と評価基準が、

必ずしも現在の獺祭の酒造りで求められる酒米の基準と一致しないということを認識しました。

具体的には、 既存の評価基準では大きな心白が良いとされますが、大きい心白は精米時に割れやすく、 高精白には適していません。 一方で、

小さい心白の米は既存の基準では低評価されますが、 実際は高精白に耐え得る上に、 その後の麹造りや発酵で優れた特性を発揮する事が判明しています。

そこで、 当社が既存のルールに囚われず、 高品質な獺祭を造るために適した山田錦を独自に適正価格で購入する事で、

山田錦生産者の方は獺祭の求める米を追求する魅力が生まれ、 結果的により高品質な獺祭を造ることが出来ると考えています。 この取り組みは、 山田錦生産者、 消費者、

および当社の全当事者に利点のある取り組みだと確信しています。

[]

[]

【山田錦の“獺祭基準”】

・心白が小さく米の中心に位置しており、 圧倒的な高精白の精米に耐えうる米であること

・粒の大きさ、 胴割れ等の被害米の少なさ等、 既存の穀物検査の項目

・責任者:榎本崇芳(えのもとたかよし)

旭酒造で山田錦の精米チームを12年経験、 山田錦プロジェクトの審査員も務め、 獺祭の米を扱う経験の長さから今回責任者に抜擢された。

“獺祭の山田錦を日本一見ている男”

【購入方法】

一旦、 既存の各県の山田錦の基準価格や等級に準じた価格で購入させて頂きます。 納品後に社内で再評価を実施し、

その評価結果を該当する生産者の皆様にご連絡いたします。 獺祭基準を満たすと判断した山田錦は全量、 一俵35,000円との差額を後日お支払いします。

【一俵35,000円の理由】

約30年前の1993年に兵庫県産の特上の山田錦の市場価格が31,000円でした。 現在の山田錦は25,000円前後と、 以前よりも価格が落ちていますが、

品質の優れた山田錦に対して、 過去の最高値の山田錦よりも高い価値があると考え、 35,000円という価格設定をしました。

【参考】旭酒造は2021年度産の山田錦を、 20県から計15万俵(9,000トン)購入しました。 2020年以降コロナ禍による日本酒需要の低下から、

酒米を買い控えが問題になっておりましたが、 旭酒造はコロナ前と同水準での購入を続けています。