昨年の新型コロナ流行時に糖尿病重症化予防ケアなど減少 – 米総合内科雑誌(Journal of General Internal Medicine)に掲載

米総合内科雑誌(Journal of General Internal Medicine)に掲載 大規模診療データベースを用いた分析で、

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の昨年の流行時、 糖尿病のケアが重症化予防(透析予防、 フットケア)も含めて減少していことが明らかになったので、

お知らせします。

本研究は、 東京大学大学院医学系研究科・公衆衛生学教室の宮脇敦士助教、 池洲諒医師(博士課程)、 小林廉毅教授のチームが、

メディカル・データ・ビジョン株式会社(同千代田区)取締役の中村正樹、 株式会社データック(同千代田区)代表取締役の二宮英樹、

および国立国際医療研究センター研究所 糖尿病情報センター 杉山雄大室長と共同で行いました。 この研究の論文は2021年1月19日付で米国総合内科雑誌

Journal of General Internal Medicineに掲載されました。

【弊社代表取締役 医師 二宮のコメント】

COVID-19の感染拡大に伴い、 COVID-19以外に関する医療提供体制や患者受診行動に大きな変化が起きました。

それらの変化の中には「感染収束後には戻る一時的な変化」と「感染収束後も続く永続的変化」があります。 後者に関しては、

例えばオンライン診療やウェアラブルデータを用いた診療など、 将来的に起きつつある変化が今回を契機に一気に加速したものも含まれています。

リアルワールドデータは万能ではありませんが、 私たちは医療の変化を定量的に捉えることで、 より良い医療提供体制や政策に対して貢献をしていきたいです。

【発表の概要】

COVID-19の感染リスクを警戒して、 昨年4月に1回目の緊急事態宣言が発令される前後には、 糖尿病患者が定期受診を延期するケースが見られました。

糖尿病ケアの実施数が減少すると公衆衛生上、 重大な影響を与える可能性がありましたが、 糖尿病ケアの実施数が実際にどの程度、

減少していたかはわかっていませんでした。

今回、 メディカル・データ・ビジョンが構築した国内最大規模の急性期病院の診療データベースを使用し、 2020年年初にあたる同年第2~8週と、

同年の同緊急宣言が発令されていた期間の前半を含む第9~17週目の間に、

外来診療で実施された1週間当たりの糖尿病患者の定期検査およびケアの実施数を186の病院で比較しました。

その結果、 糖尿病患者が血糖値コントロールのために定期的な血液検査で測定するHbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)検査の1週間あたりの実施数は、

2020年第2~8週に5万2392件/週だったのが、 同年第9~17週には4万4406件/週となり、 15.2%減少しました。 その他にも、

血清クレアチニン検査、 尿タンパク検査、 眼底検査、 糖尿病フットケアサービス、

および糖尿病腎ケアサービス(透析予防)を含む全ての検査およびケアの実施数も減少したことが明らかになりました。

東大大学院の宮脇助教は「糖尿病患者の血糖値コントロールがどのくらい悪くなったのか(それとも変わっていないのか)が今後の検討課題になる」とコメントしています。

【書誌情報】Ikesu, R., Miyawaki, A., Sugiyama, T., Nakamura, M., Ninomiya, H., &

Kobayashi, Y. Trends in Diabetes Care during the COVID-19 Outbreak in Japan: an

Observational Study. J GEN INTERN MED (2021).

https://doi.org/10.1007/s11606-020-06413-w

【本件に関するお問い合わせ先】

本リリース記事について:二宮英樹(株式会社データック) [email protected]