サントリーウォーターレポート

若い世代を中心に高まる環境配慮意識 現代人の日常生活に欠かせないものとなったミネラルウォーター。

サントリーは、 「水と生きる」ことを社会との約束と位置づけており、 ミネラルウォーター市場をリードする企業として、

ミネラルウォーターがどのように飲用されているのか、 飲用頻度、 飲用機会や購入実態などを明らかにすることを目的に、 1991年から毎年、

市場動向調査を実施しています。

現代人の日常生活に欠かせないものとなったミネラルウォーター。サントリーは、「水と生きる」ことを社会との約束と位置づけており、ミネラルウォーター市場をリードする企業として、ミネラルウォーターがどのように飲用されているのか、飲用頻度、飲用機会や購入実態などを明らかにすることを目的に、1991年から毎年、市場動向調査を実施しています。

今回は、生活者のミネラルウォーターに対する意識と飲用実態を明らかにするとともに、「健康」や「環境配慮」に関する意識や行動を明らかにしていきます。

I.消費者利用動向調査

1991(平成3)年から当社で実施している生活者を対象にした利用動向調査の2022(令和4)年版です。今回は「日常生活におけるミネラルウォーター」を主なテーマに、生活者の意識や行動を調査しました。

II.参考:「日本のミネラルウォーター市場の推移について」

I.消費者利用動向調査

「日常生活の中のミネラルウォーター」に関する調査

1.調査対象

(1)「飲み水」と聞いて思い浮かぶもの

首都圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)および関西圏(大阪府、京都府、兵庫県、奈良県)に居住する20~69歳の男女個人

(2)「水」や「水分摂取」全般に関する意識や行動~(4)「環境」に関する意識や行動

首都圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)および関西圏(大阪府、京都府、兵庫県、奈良県)に居住する20~69歳の男女個人で、昨年の9月以降に以下の6種の有料の水、および水道水のいずれかを「飲用水」として利用した人を対象としました。

a)ミネラルウォーター(ペットボトル、缶、ビンに入った非発泡かつ甘くないもの)

b)炭酸水またはスパークリングウォーター

c)フレーバーウォーター

d)宅配サービスのミネラルウォーター(ウォーターサーバーを使用し自宅で利用するもの)

e)スーパーの店頭などで、セルフサービスで詰める水

f)自宅の浄水器(水道直結式のアルカリイオン整水器や浄水器)の水

2.調査対象者数

(1)「飲み水」と聞いて思い浮かぶもの

1,940人(男性965人、女性975人)

(2)「水」や「水分摂取」全般に関する意識や行動~(4)「環境」に関する意識や行動

500人(男性252人、女性248人)

3.調査方法

インターネット調査

4.調査期間

2022(令和4)年9月2日(金)~9月4日(日)

注)本レポートでは、小数第2位を四捨五入しています。そのため、数字の合計が100%とならない場合があります。

5.調査結果

(1)「飲み水」と聞いて思い浮かぶもの

約6割が「飲み水」といえば「ミネラルウォーター」を想起、20代、30代は特に割合が高い

まず、20代~60代の男女1,940人を対象に「飲み水」と聞いて思い浮かぶものを聞くと、「ミネラルウォーター」(57.5%)が約6割と最も多く、次いで「水道水」(25.2%)、「自宅の浄水器」(10.4%)となりました。性別、年代を問わず「ミネラルウォーター」がトップとなり、特に20代(66.2%)、30代(64.0%)の若い世代で「飲み水」といえば「ミネラルウォーター」を思い浮かべる人が多いことがわかりました(図1、表1)。

以下より、「昨年の9月以降に有料の水および水道水のいずれかを飲用水として使用した人」(全体n=500)の調査結果となります(対象者の詳細は前述の「調査対象」をご確認ください)。

(2)「水」や「水分摂取」全般に関する意識や行動

1.飲み物に「水」を選ぶ人とその理由

飲み物としてあえて「水」を選ぶことがある人は7割以上、20代、30代は約8割

日常生活のなかで飲み物を選ぶ際、あえて「水(ミネラルウォーターを含む)」を選ぶことがあるかを尋ねると、「ある」(39.0%)、「たまにある」(33.2%)の合計は72.2%で、約4人に3人が水を「仕方なく」ではなく「あえて」選ぶことがあると回答しました。年代別では30代(80.9%)が最も多く、次いで20代(76.5%)となり、若い世代でより積極的に飲み物として「水」が選ばれていることがわかりました。(図2)

あえて「水」を選ぶことがあると回答した人(361人)にその理由を尋ねたところ、「どんなシーンでも飲めるから」(60.1%)、「余計な味が付いていないから」(44.9%)、「気軽に飲むことができるから」(35.7%)がトップ3となり、「水」の使い勝手の良さに引かれる人が多いようです。

年代別では40代以降が、「体にとって大切だから」(40代:33.3%、60代:33.9%)、「健康に良いから」(40代:29.0%、60代:33.9%)といった健康面の理由や「飽きないから」(50代:26.5%、60代:30.5%)、「気軽に飲むことができるから」(50代:41.2%、60代:39.0%)といった理由が高い傾向にあるのに対して、20代・30代では、「水が好きだから」(20代:29.2%、30代:26.3%)、「おいしいから」(20代:24.6%、30代:25.0%)の割合が高く、「水」の味わいを評価する人が多いようです。(図3)

2.水と健康意識

昨年から微増の7割以上が「体のことを意識して水を飲む」、年代により意識する健康観は異なる

「体のことを意識して水を飲んでいる」と回答した人は全体の72.4%(「いつも意識」「たまに意識」の合計)でした。昨年度(70.2%)から2.2ポイント増え、健康意識の高まりがうかがえました。(図4)

具体的には、「血行促進・血液がさらさらになる」(47.8%)、「熱中症予防」(47.0%)、を約半数の人が意識しています。年代別では世代間の特徴が表れ、20代、30代では「代謝をあげる」(20代:38.2%、30代41.3%)、「肌の保湿のため」(20代:29.4%、30代:26.7%)、「むくみ防止」(20代:19.1%、30代:32.0%)など、体調をより良くすることや美容がよく意識されています。一方、「熱中症予防」(50代:60.0%、60代:57.6%)、「脳梗塞の予防」(60代:39.0%)、「生活習慣病予防」(60代:27.1%)など、50代、60代は病気予防を意識して水を飲む

人の割合が多く、健康維持への意識が高いことがうかがえます。(図5)

3.水の飲み方

98.6%の人が「季節に関わらず水分補給は重要だと思う」、75.0%が「朝起きてすぐ飲む」、20代の65.9%が「水を持ち歩く」

水分補給に関する意識では、「季節に関わらず水分補給は重要だと思う」(98.6%)、「こまめな水分補給は良いことだと思う」(98.4%)が共に98%を超え、広く意識されていることがわかりました。「涼しくなると水分をとる機会が減る」(86.4%)を除き、全ての項目が9割以上となる中、男女別に見ると「意識的に水分補給のタイミングを設けることが必要だと思う」(男性:88.9%、女性:99.2%)は女性の方が10.3ポイント高く、水分補給のタイミングを設けようとより意識している人が多いことがわかりました。(図6)

※数値は「そう思う」「ややそう思う」の合計

実際に水分補給をする際の方法では、「朝起きてすぐ水を飲んでいる」(75.0%)の実施率が最も高く、「寝る前に水を飲んでいる」(72.2%)、「入浴後に水を飲んでいる」(71.8%)とあわせ、水を飲むタイミングを習慣化している人が多い様子がうかがえます。

20代・30代では、「汗をかいていなくても水を飲むようにしている」(20代:76.5%、30代:75.5%)、「1日のなかで定期的に水を飲むようにしている」(20代:75.3%、30代:71.3%)、「外出時、水を持ち歩き、いつでも水分補給できるようにしている」(20代:65.9%、30代:59.6%)が、それぞれ全体より多く回答されており、若い世代の日常生活の中に水を飲むことによる水分補給を心掛けている人が多いことがうかがえます。(図7)

※数値は「いつもしている」「たまにしている」の合計

(3)「ミネラルウォーター」に関する意識や行動

1.飲み水とミネラルウォーターの飲用量

1日に飲む水の量のうち「ミネラルウォーター」の飲用量・割合が増加、この10年で飲み水、ミネラルウォーターの飲用量が約2倍に

1日に飲む飲み水全体の量は平均で991.6ml、そのうちミネラルウォーターの割合は44.5%で441.2mlとなりました。

ミネラルウォーターの量と割合を5年置きの推移で見ると、2012年(211.4ml、38.7%)、2017年(360.3ml、38.1%)、2022年(441.2ml、44.5%)と上昇しています。1日に飲む水の量は10年前より445.3ml増加、ミネラルウォーターの割合は10年前より5.8ポイント上昇し、飲み水のうちのミネラルウォーターの量も229.8ml増加しました。飲み水の量は10年前から2倍近くに、ミネラルウォーターの量は約2倍に増加しており、10年前よりも約2倍の量の水を1日に飲むようになったと言えます(図8)。

2.ミネラルウォーター利用者の実態

ミネラルウォーターは「20代から」飲み始めた人が2割、20代は幼少期から飲んでいる「ミネラルウォーターネイティブ」世代

ミネラルウォーターを飲み始めた時期を尋ねると、覚えている人の中では「20代になってから」(20.0%)が最も多いことがわかりました(図9)。

一方、年代別で20代を見てみると、「小学校に上がる前から」(20代:21.2%)が14.4ポイント、「小学生のときから」(20代:11.8%)が6.0ポイント全体よりも高い結果となりました。また、「覚えていない」(20代:31.8%)も11.2ポイント全体より高く、幼少期や物心がつく前からミネラルウォーターを飲んでいる可能性があり、「ミネラルウォーターネイティブ」世代であることがうかがえます。(表2)

初めてミネラルウォーターを飲んだ理由は、「健康に良さそうだと思ったから」(36.7%)が最も多いことがわかりました。

年代別で見ると、20代は全体に比べ、「家にあったから・家族が飲んでいたから」(20代:62.1%)が27.2ポイント、「親にすすめられて」(20代:19.0%)が10.4ポイント高くなっています。幼少期からごく自然にミネラルウォーターと付き合ってきた20代はまさに「ミネラルウォーターネイティブ」と言えるようです。(図10)

3.水に関する価値観

約7割の人が「ミネラルウォーターを買うことは普通のこと」と考え、6割超の人にとっては「生活必需品」となっている

水に関する価値観では、「ミネラルウォーターを買うことは普通のことだ(抵抗はない)」(69.4%)は約7割、「ミネラルウォーターは生活必需品だ」(62.4%)は6割以上となり、ミネラルウォーターと人々との密接なつながりが感じられます。

年代別に見ると全世代で「ミネラルウォーターを買うことは普通のこと」という回答が6割以上となりました。また、60代を除く各世代で6割以上が「ミネラルウォーターは生活必需品だ」と回答しており、特に、20・30代はその割合が高い傾向となりました。(図11)

4.ミネラルウォーターの採水地に関する意識

高まる「水源意識」と、採水地への興味関心、6割以上が採水地を訪れてみたいと回答。その理由として水源地の自然環境を挙げる人が多数

ミネラルウォーターの採水地についての意識を尋ねると、「ペットボトルに採水地が明記されていると安心感がある」(61.6%)が最も多く、6割以上の人が安心感を覚えることがわかりました。「購入時、『●●の水』など商品名に採水地が入っているものや、容器に記載されているものを優先している」(50.4%)人は半数、「ミネラルウォーターの購入時、採水地を確認する」(45.8%)人は5割近くなり、採水地が購入意欲にも大きく影響するなど、「水源意識」の高まりが感じられる結果となりました。(図12)

採水地として思い浮かぶ場所を尋ねると、1位「南アルプス(山梨県)」(85.0%)が昨年(90.0%)に引き続き高い知名度となりました。昨年度登場の「北アルプス(長野県)」も、3割弱と、認知度が高まっています。(図13)

※数値は「そう思う」「ややそう思う」の合計

「望ましいミネラルウォーターの採水地」がどのようなところだと思うかを聞くと、1位「水源を守る豊かな森があること」(68.8%)が約7割となり、2位「水源を守る森がきちんと維持されていること」(47.2%)もあわせて、水源の豊かな自然環境が守られることを望む声が多く集まりました。(図14)

「実際に採水地を訪れてみたい」と回答した人は63.8%(「訪れてみたい」「機会があれば訪れてみたい」合計)にも上りました。(図15)

訪れてみたい理由は、「自然が豊かだと思うから」(79.9%)が約8割となり、美しい自然環境に引かれる人が多いようです。20代は「お気に入りの採水地があるから」(20代:14.0%)が他の世代より高く、30代は「どんな場所なのか興味があるから」(30代:42.4%)などの項目で全体よりもポイントが高く、若い世代ほど採水地の自然や環境への興味関心が高い様子がうかがえる結果となりました。(図16)

(4)「環境」に関する意識や行動

1.ペットボトル飲料購入時の環境意識の高まりと具体的な行動

約5割が「同じ商品であれば環境配慮型のものを買いたい」、環境配慮の気持ちが高まるなか、ペットボトル容器を気にする声も

ペットボトル飲料購入時の環境意識や具体的な行動については、「同じ商品であれば環境配慮型のものを買いたい」と回答した人が49.6%(「あてはまる」「ややあてはまる」合計、以下同)で、特に20代は51.8%と半数を超えました。将来を見据えて「数年後には、価格よりも環境に配慮しているかどうかで商品を選ぶ時代が来ると思う(既に来ていると思う)」も43.2%と4割以上が回答しています。

一方、現状の飲料のペットボトルについて「捨てるときに、かさばることが気になる」(63.4%)、「飲んだ後の容器の取り扱いが面倒」(56.4%)と感じている人は共に約6割となり、環境配慮の気持ちがある中で、容器のことが気になっている様子がうかがえます。

特に、20代は「価格よりも環境に配慮しているかどうかで商品を選びたい」(20代:37.6%)、「製造・販売する会社が、積極的に環境に配慮した活動を行っているかどうかをいつも気にかけている」(20代:41.2%)、「同じ味のペットボトル飲料であれば、数十円高くても、環境に配慮した商品を買う」(20代:37.6%)でも高く、SDGs意識の浸透や高い環境意識が感じられます。(図17)

※数値は「あてはまる」「ややあてはまる」の合計

2.飲料メーカーに取り組んでほしいこと

環境意識が高まるなか、飲料メーカーに求められているのは、「水源地の自然環境保全」と「容器の継続的な改良」

飲料メーカーに取り組んでほしいことを尋ねると、「水源地の森林保全」(65.0%)が1位に、「水源地の生物多様性の維持・保全」(46.0%)が2位となりました。「水源」への意識が高まることに比例して、水源地の自然環境を守るための取り組みが求められています。

また、3位は「捨てやすい容器の開発など、環境に配慮したパッケージの継続的な改良」(45.8%)、4位は「リサイクル素材や植物由来素材を100%使用したサステナブルなペットボトルの利用」(43.6%)が挙げられました。「水源地」の環境保全とともに、容器の改良を求める声が多いことがわかりました。(図18)

II.参考:「日本のミネラルウォーター市場の推移について」

日本のミネラルウォーターの歴史は、1970年代前半、業務用市場で販売された瓶入りのミネラルウォーターにまで遡ります。その後、さまざまな時代背景を反映しながら、ミネラルウォーターは着実に日本人の生活の中に浸透してきています。

●1980年代後半~家庭用市場への広がり

自然・健康ブームに加えて、海外旅行の増加によってミネラルウォーターに接する機会が増えたこと、さらに水道水の質への不安が問題になるなどの要因から、ミネラルウォーターは、それまでの業務用市場から家庭用市場へも広がり始めました。

●1990年代~家庭用市場で大きく伸長

1990年代に入って、マンションの貯水タンクの汚れや水道水の問題が報道されるようになりました。これを受けて、家庭用のミネラルウォーターの消費量は、国産が水道水の代替品として、輸入も1993(平成5)年のブームによって、共に大幅に拡大しました。また、1994(平成6)年の猛暑・水不足による需要増や災害時の備蓄への意識の高まりにより、ミネラルウォーターは、家庭における日常品としての地位を確実なものにしました。

しかしながら、1995(平成7)年秋の異物混入事件により輸入ミネラルウォーターが大幅に減少した影響を受け、1996(平成8)年の家庭用ミネラルウォーター市場は、90年代で初めて前年を下回る結果となりました。一方でこの事件によって、ミネラルウォーターの安全性、品質に対する信頼がミネラルウォーター購入時のポイントとして消費者に大きく意識されるようになります。同年4月に国産小容量ペットボトル製品の販売が解禁。これにより、ミネラルウォーターの飲用機会が広がり、国産ミネラルウォーターの消費量は大幅に増加しました。

また、いわゆる「2000年問題」により、停電対策として家庭でミネラルウォーターを備蓄した人が多かったため、1999(平成11)年のミネラルウォーター市場は前年比3割増と大幅に伸長しました。

●2021年は前年比108.1%で過去最大だった昨年をさらに上回る規模に

2000(平成12)年から2006(平成18)年までは健康志向の高まりなどにより、ミネラルウォーター市場は、拡大を続けていましたが、2007(平成19)年からは消費者の生活防衛意識の高まりなどを受けて、ほぼ横ばいの傾向でした。

2011(平成23)年は、東日本大震災後の備蓄用の需要が急増するなどの影響もあり3,172千キロリットル(前年比126.0%)と大きく伸長し、20年前の11倍、10年前の約2.5倍の規模にまで拡大しました。

2021(令和3)年の国産ミネラルウォーターの生産量は4,154千キロリットル(前年比108.1%)、輸入ミネラルウォーターは288千キロリットル(前年比84.8%)で、合計4,442千キロリットルと過去最大規模となりました。新型コロナウイルス感染拡大の影響はあるものの、時期により行動制限が緩和され、ミネラルウォーターの飲用量が伸びたことが影響していると考えられます。(図19)

●日本の国民1人当たりの年間消費量推移、2021年も過去最高を更新

日本の国民1人当たりのミネラルウォーター年間消費量は、2007(平成19)年からは19.7リットル前後で安定的に推移していましたが、2011(平成23)年は、東日本大震災の影響もあり、24.8リットルと大きく伸長しました。

2012年からは年々微増し、2021(令和3)年は、過去最高となった昨年を上回り、35.4リットル(前年比106.3%)と、これまでで最も多くなっています。(図20)

以上

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