時間で変化する肌を詳細に把握して、より効果的なお手入れを

~皮脂中に肌の一日のリズムと同調するRNAが含まれていることを発見~ 花王は、 あぶらとりフィルムで拭きとったヒトの皮脂の中に、

RNAが含まれることを明らかにし、 約10,000種におよぶ皮脂RNA量を一斉に分析する「皮脂RNAモニタリング」を構築しています※1。

RNAはDNAと違って、 その時々で変わる状態を捉えることが可能です。 そこで今回、 起床から就寝までの皮脂RNAの発現情報を解析した結果、

肌の一日のリズムと密接に関連するRNAが多数存在することがわかりました。 肌は、 日中/夜間の外部環境に適応して変化する肌は、

体と外部環境の境界部分に存在する臓器で、 外部環境の変化に合わせて肌の機能を調節することで体を保護する役割を担っています。 たとえば、

熱や紫外線にさらされる日中は、 肌のバリア機能が高くなる一方で、 夜間は日中に受けたダメージの修復機能が高いことが知られています(図1)。

肌の一日のリズム

肌の一日のリズム

肌の一日の機能変化と密接に関連するRNAが皮脂に含まれている

花王は、 皮脂に含まれるRNAを起床から就寝まで複数回採取し、 その特徴を解析しました。

その結果、 日中には皮脂産生などバリア機能を担うRNAの量が多く、 夜間には体の修復を担うDNA修復や免疫を調整するRNAの量が多いことがわかりました(図2)。一日の中で発現変動する皮脂RNAと機能特徴

一日の中で発現変動する皮脂RNAと機能特徴

今回の検討により、 皮脂の中には一日の中で変動するRNAが複数存在しており、 それらはヒトの肌の機能変化とも連動していることが明らかとなりました。

この結果から、 将来的には、 このような皮脂RNAの情報をもとに、 その時々の肌コンディションに最適なスキンケアを提案できればと考えています。 さらに、

生体のリズムの乱れはさまざまな体の不調や疾患とも関連するため、 ヘルスケアへの応用も期待できます。

※1 花王ニュースリリース 2019年6月4日

「皮脂中に人のRNAが存在することを発見 独自の解析技術「RNA Monitoring(RNAモニタリング)」を開発 」

https://www.kao.com/jp/corporate/news/rd/2019/20190604-001/

この研究成果は、 第27回日本時間生物学会学術大会(2020年9月26~27日、 オンライン開催)にて発表し、 「優秀ポスター賞」を受賞しました。