気がつけば4分の1が障害のある社員になっていた?!ユニバーサル農園「京丸園」の取り組みが絵本になりました!

合同出版では2021年12月3日に『めねぎのうえんのガ・ガ・ガーン!』(合同出版)を全国の書店・Amazon・楽天ブックスなどで販売いたします。

★うちの学校の生徒をやとってもらえないでしょうか?

静岡県浜松市にある、 「芽ねぎ」などの水耕栽培で有名な京丸園は、 400年を超える歴史ある農園です。

13代目の鈴木社長は農園をもっと進化させたいと考えていました。

きっかけは近くにある特別支援学校の先生が、 京丸園を訪ねてきたことでした。

「うちの学校の生徒をやとってもらえないでしょうか?」

鈴木さんはこれまで障害者とまったく接点のない生活をしていて、 障害者と話したことも意識したこともありませんでした。

「何と言って断ろうか……」と考えた末、 職人技が必要な芽ねぎの栽培の過程を先生に見せました。

特別支援学校の先生は、 その作業を見ると鈴木社長の思わくどおり、 「これはうちの生徒には無理ですね……」と、 帰っていきました。

★下敷きマジック

1週間後、 「これ、 使えんでしょうか?」と、 先生が下敷きを持って農園にやってきました。 その下敷きを使って、

先週見た芽ネギを植える職人技を1回でやってのけたのです。

鈴木さんは驚きました。

「その仕事ができる人を探すのではなく、 その人ができる工夫を考えればいいんじゃないか……?」

これが障害のある人を雇用するきかっけでした。

★仕事はゆっくりな方がいい!

特別支援学校を卒業し京丸園で働くこととなったAさんは、 あてにしていた仕事が思うようにできなかったため、

ほうきとちりとりでビニールハウス内の掃除をすることになりました。 スピードは決して速くはありませんでしたがとても丁寧に掃除をし、

小さな草があれば取り除いてくれました。 するとハウスの様子が変わっていきました。 Aさんが掃除したお蔭で草がなくなり、 害虫が少なくなっていったのです。

そして、 農業で一番つらい仕事である農薬散布が軽減されていきました。 ほうき一本で農薬の回数が減るのであれば、

掃除機で虫を直接捕まえればもっと農薬を減らせるかもしれないと、 鈴木さんは「虫トレーラー」を開発しました。 この虫取り掃除機は、

作業スピードがゆっくりであればあるほど虫が捕れます。 つまり、 動作がゆっくりの人にお願いしたい仕事です。

ハウス内は、 害虫がいなくなり農薬がいらなくなりました。

★障害者が働くのが難しいとしたらそれはだれの問題?

鈴木さんは、 知的障害のBさんに、 「トレーをちゃんと洗っていて」と指示を出しました。 1時間後見に行くと、

Bさんは100個あるトレイの1個目をずっと洗っていました。

特別支援学校の先生に、 「あの子は仕事ができない」と連絡しました。

先生 「ところで、 鈴木社長はBさんにどんな指示をしましたか?」

鈴木 「ちゃんと、 話しましたよ、 『ちゃんと洗っといて』と」

先生 「鈴木社長、 それは指示ではありません。 指示とは、 トレイの表を3回こすって次に裏を3回こすって、 水を流して、 トレイを指定の場所において、

次のトレイに移る」というのが指示です」

Bさんにその指示を伝えるとトレーを次から次へと洗ってくれました。

障害のある人の就労が難しいのは、 彼らの問題なのでしょうか。 それとも、 障害者と関わる私たちの問題なのでしょうか。

鈴木さんは、 私たちが新しいやり方を探して変わっていけば、 もっと多様な働き方が見つかって、 もっとたくさんの人と一緒に仕事ができる、

とすっかり頭のスイッチが切り替わりました。

それ以降、 毎年1名ずつ障害のある人を採用し、 京丸園では、 毎年新しい仕事の仕方が生まれています。

京丸園の皆さん

京丸園の皆さん

芽ねぎ

芽ねぎ

(写真:京丸園提供)

子どもといっしょに「障害」を身近に考える絵本

『めねぎのうえんのガ・ガ・ガーン!』『めねぎのうえんのガ・ガ・ガーン』

『めねぎのうえんのガ・ガ・ガーン』

めがでて まもない ほそ~いねぎのことを 「めねぎ」 といいます。

おいしいめねぎを たくさんつくっている すずきさんのうえんには

ある ひみつが あったのです。

2021年12月全国書店にて発売!!

* 著者プロフィール

多屋 光孫

多屋 光孫

多屋 光孫(たや みつひろ)

絵本・紙芝居作家、 挿絵画家。 2015年に会社員より転職し児童書、 カルチャー情報誌、 キャンペーンCMなど多方面で活動。

代表作:絵本『ゆうこさんのルーペ』(合同出版)、 絵本『よるこぞう』(鈴木出版)、 『校内放送で使える学校なぞなぞ』シリーズ1~6(汐文社)、 言葉で遊ぼう

がっこう回文1~3(汐文社)、 紙芝居『くじらやま』(童心社)他。 受賞歴:二科展デザイン部大賞(2014年)、 特選賞(2011、 2013年)、

奨励賞(2010、 2015年)他。 日本出版美術家連盟理事・事務局長。 二科会デザイン部会員。

○めねぎのうえんえほんプロジェクトメンバー紹介

鈴木 厚志

鈴木 厚志

鈴木 厚志(すずき あつし)

京丸園株式会社代表取締役

NPOしずおかユニバーサル園芸ネットワーク事務局長。 平成9年から障がい者雇用をはじめ、 現在ユニバーサル農園として障がい者24名を雇用する。 「姫みつば」、

「姫ちんげん」等オリジナル商品を生産し、 JAとぴあ浜松、 静岡経済連を通して全国40市場に周年出荷している。

鈴木 緑

鈴木 緑

鈴木 緑(すずき みどり)京丸園株式会社総務取締役

1985年に京丸園を営む鈴木家に嫁いでくる、 3人の子どもを育てながら夫(鈴木厚志)とともに2002年に京丸園株式会社を設立、 総務取締役として、

経理・総務・心耕部(障害のある人たちの部署)の担当、 働く人の困った!を外部の専門家の助けを借りて日々改善している。

星川 安之

星川 安之

星川 安之(ほしかわ やすゆき)

公益財団法人 共用品推進機構 専務理事

1980年、 トミー工業(株)(現:タカラトミー)に入社、 障害のある子どもたちの玩具開発に従事。 障害の有無に関わらず共に遊べる共遊玩具から、

玩具以外にも発展させた共用品・共用サービスを普及させるため、 1999年、 財団法人共用品推進機構を設立し、 調査、 標準化、 各種普及事業を行っている。

* 書誌情報

『めねぎのうえんのガ・ガ・ガーン!』

https://www.godo-shuppan.co.jp/book/b593900.html

□絵・文 多屋 光孫

□定価=本体1800円+税

□B5判変型(237×182ミリ) 48ページ 上製カラー

□ISBN 978-4-7726-1480-1

□全国書店、 ネット書店各店で好評発売中!

Amazon販売ページ

https://www.amazon.co.jp/dp/477261480X/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_MJGA4SJAX5QQ0SEYSJAD

楽天ブックス販売ページ

https://books.rakuten.co.jp/rb/16918618/

* オンラインイベント12月17日(金)開催!

イベント詳細・お申し込みはこちらまで

https://coconome6.peatix.com/

【本の街で、 こころの目線を合わせる】

気がつけば4分の1が障がいのある社員になっていた?! ユニバーサル農園をめざした京丸園の「めねぎ農園のひみつ」を教えます

当事者以外にはなかなか伝わらない障害や病気を抱えての暮らし。

その日常を、 本を通じて発信する人々がいます。

神保町ブックセンターでは、 彼らをとりまく支援者や研究者などを交え、 当事者としての彼らの話に耳を傾け、 障害について共に考えるイベントを開催いたします。

12月3日刊行『めねぎのうえんのガ・ガ・ガーン』(合同出版)は浜松で400年を超える歴史ある「めねぎ農園」の実話を基にした、

障がい者とは何かを身近に考える絵本です。 今回は「めねぎ農園」代表の鈴木厚志さんと鈴木緑さん、

絵本の著者でもある多屋光孫さんと共用品推進機構専務理事の星川安之さんをお招きし、 農園のお話しや絵本に出てくるシーンの舞台裏など障がい者雇用に関して、

参加者みなさまとの目線合わせの可能性を探ります。

■開催要領

2021年12月17日(金)/19時00分スタート、 20時30分終了予定

オンライン参加チケット:1000円

【主催】本の街でこころの目線を合わせる実行委員会