絵本『じごくのそうべえ』で知られる絵本作家・田島征彦さんが取り組む「沖縄戦」の絵本『なきむしせいとく』

絵本『じごくのそうべえ』で知られる絵本作家・田島征彦さんが取り組む「沖縄戦」の絵本『なきむしせいとく』

沖縄を40年以上見つめ続けてきた著者が、絵本作家人生の集大成として今、沖縄戦の絵本の制作に取り組んでいます。 株式会社童心社(出版社 本社:東京都文京区

代表取締役社長・後藤修平)は、 絵本『なきむしせいとく 沖縄戦のはなし』(たじまゆきひこ・作)を2022年4月下旬に刊行します。

書籍詳細:

https://www.doshinsha.co.jp/search/info.php?isbn=9784494012480

佐喜真美術館にて(2020年) [https://prtimes.jp/i/90113/2/resize/d90113-2-96c6edd094a73cb2864d-5.jpg&s3=90113-2-a6154749ffcc5317acf99728e7c623c0-1000×1500.jpg]

佐喜真美術館にて(2020年)

* ライフワークとして、 沖縄を見つめ続けてきた作家の集大成

児童文学作家の故・灰谷健次郎さん(1934~2006)との取材をきっかけに、 40年以上沖縄に通い続けているという絵本作家の田島征彦さん(82)。

ロングセラー絵本『じごくのそうべえ』(1978年刊・累計86万部)などの著作で知られる一方で、 これまでも沖縄を題材にした絵本を作り続けてきました。

西表島や石垣島などを8年かけて取材し制作した『とんとんみーときじむなー』(1987年)、

10年かけて取材し沖縄戦と基地の問題を描いた『てっぽうをもったキジムナー』(1996年)、 琉球を舞台にした『そうべえときじむなー』(2018年)、

森にくらす子どもの視点から沖縄の基地建設と自然破壊を描いた『やんばるの少年』(2019年)を手がけています。 どの作品を作る時にも、

田島さんは自分の足で沖縄の地を訪れ、 自分の目でたしかめることを大切にしてきました。

左から『じごくのそうべえ』(1978年)『とんとんみーときじむなー』(1987年)『てっぽうをもったキジムナー』(1996年)、

『そうべえときじむなー』(2018年)やんばるの少年』(2019年) [https://prtimes.jp/i/90113/2/resize/d90113-2-04323c68cb01622f7a2e-13.jpg&s3=90113-2-4083e23c260975e26397977886388179-1500×352.jpg]

左から『じごくのそうべえ』(1978年)『とんとんみーときじむなー』(1987年)『てっぽうをもったキジムナー』(1996年)、

『そうべえときじむなー』(2018年)やんばるの少年』(2019年)

今年、 沖縄は本土復帰から50年をむかえます。

復帰は、 戦争と敗戦、 占領と基地を切り離して考えることはできません。

「今の日本の子どもたちに、 沖縄戦の時代に生きた子どもたちを知ってもらい、 今の沖縄について考えるきっかけにしてもらいたい」田島さんはそう語っています。

少年兵として出征する兄を泣きながら見送る主人公・せいとく。

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少年兵として出征する兄を泣きながら見送る主人公・せいとく。

* あらすじ

舞台は1945年戦争末期の沖縄。 国民学校2年生の男の子「せいとく」は、 いつも泣いているのでみんなから「なちぶー」とよばれています。

戦況がきびしく敗色が濃くなっていく中、 出征していた父に続き、 兄も「鉄血勤皇隊」に招集されてしまいます。

せいとくと母、 妹の3人は少しでも安全な場所を求めて家を捨て、 南へ南へと避難します。

激しいアメリカ軍の砲撃でせいとくは母を失い、 軍民が入り乱れる混乱の中、 妹とも生き別れてしまいます……。

本作では8歳の男の子、 せいとくの視点から物語が描かれます。

空襲や艦砲射撃、 そして地上戦……。 家族を失い、 死体を踏み越えて逃げ、 味方と避難場所を奪い合う凄惨をきわめた沖縄戦を経て、 泣き虫だったせいとくはついに、

涙をながすことすらなくなってしまいます。

* ほとんど類書のない「沖縄戦」を描いた絵本

母のなきがらと、

妹を藪にかくすせいとく。

そのそばを日本刀をもった兵隊が走りぬけていく。

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母のなきがらと、 妹を藪にかくすせいとく。 そのそばを日本刀をもった兵隊が走りぬけていく。

地上戦にまきこまれ、

戦車にひかれそうになるせいとく。

混乱し自分の子どもとせいとくを間違えたアメリカ兵に命をすくわれる。

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地上戦にまきこまれ、 戦車にひかれそうになるせいとく。 混乱し自分の子どもとせいとくを間違えたアメリカ兵に命をすくわれる。

地上戦が行われた沖縄戦では、 日本人と米軍を含めた全体の犠牲は20万人を超え、 なかでも一般住民の犠牲は9万4千人に上り(*出典1)、

実に沖縄県民の4人に1人が犠牲になったと言われています。

沖縄戦は一般住民の犠牲者があまりに多いためか、 沖縄戦の体験者による子ども向けの絵本は、 多くありません。

自身も幼少期に大阪・堺市で空襲を体験している田島征彦さん。

今回の絵本では、 沖縄戦体験者や戦跡の取材を重ね、 残された記録、 史実に基づき、 その時代を生きた男の子の視点から絵本を描き上げました。

今回の制作について、 田島さんはこう語ります。 「悲惨な戦争を子どもたちに見せて怖がらせる絵本を創るのではない。 平和の大切さを願う心を伝えるために、

沖縄戦を絵本にする取り組みを続けているのだ」

(童心社「母のひろば」685号『沖縄戦を絵本にする』2021年6月15日刊行 より抜粋)

*出典1:「沖縄の援護のあゆみ」1996年 沖縄県生活福祉部

沖縄県における戦災の状況(沖縄県)

https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/daijinkanbou/sensai/situation/state/okinawa_04.html * 型絵染(かたえぞめ)

本作の絵は、 『じごくのそうべえ』などと同じ型絵染(かたえぞめ)という技法で制作されています。 型絵染とは、

文様の形に切り抜いた型紙と防染糊を使い染料で文様を染め出す日本独特の技法で、 世界的には"katazome"(型染/かたぞめ)として知られています。

田島征彦さんによる型絵染は世界的にも評価が高く、 『新版

祇園祭』(童心社)『てんにのぼったなまず』(復刊ドットコム)にてブラティスラヴァ世界絵本原画展金牌賞を2 度も受賞しています

* 書籍詳細

【著者】たじまゆきひこ(田島征彦)

1940年大阪府堺市に生まれる。 高知県で少年時代を過ごす。 兵庫県・淡路島在住。

絵本に『祗園祭』(第6回世界絵本原画展金牌受賞)『じごくのそうべえ』(第1回絵本にっぽん賞受賞)『あつおのぼうけん』『ななしのごんべさん』(いずれも吉村敬子・共作)『とんとみーときじむなー』『てっぽうをもったキジムナー』『やんばるの少年』(いずれも童心社)、

『てんにのぼったなまず』(第11回世界絵本原画展金牌受賞)『のら犬ボン』『ふしぎなともだち』(第20回日本絵本賞大賞受賞/いずれもくもん出版)、

35年間の画業をまとめた、 自伝的画集『憤染記(ふんせんき)』(染織と生活社)などがある。

【書誌情報】

書名:なきむしせいとく 沖縄戦のはなし

作:たじまゆきひこ

予価:本体1600円+税10%

判型:25.1×25.6cm

ページ数:48ページ

ISBNコード:ISBN978-4-494-01248-01

予定発売日:2022年4月20日

対象:小学校中学年以上

童心社ホームページ:https://www.doshinsha.co.jp/search/info.php?isbn=9784494012480

https://www.doshinsha.co.jp/search/info.php?isbn=9784494012480

【本件に関する報道関係者からのお問い合わせ先】 株式会社童心社 広報担当:編集部 井上厚治

電話:03-5976-4402 メールアドレス:[email protected] FAX:03-5978-1079