場満足度は59.2%と半分以上が満足しているものの、昨年の61.0%と比べ微減

3割が入職時サポート不十分、うち6割がマニュアルに不満足と回答し受け入れ体制に課題~転職先候補は病院、介護施設が上位。若年層ほど一般企業や美容クリニックも候補に~

株式会社エス・エム・エス(本社:東京都港区、 代表取締役社長:後藤夏樹、 東証プライム、 以下「当社」)は、

看護師・助産師・保健師向け人材紹介「ナース人材バンク」(URL:

https://www.nursejinzaibank.com/)や、 看護師・看護学生向けコミュニティ「ナース専科」(URL:

https://nurse-senka.jp/)を提供しており、 この度、

昨年に続き全国の看護師19,335人に看護師の採用と定着をテーマに「看護師の働き方に関する意識調査」を実施しました。

【主な調査結果】

1.職場に満足を感じている看護師は約6割(59.2%)

「満足」が10.6%、「まあ満足」が48.6%、「やや不満」が28.4%、「不満」が12.4%。約6割が満足している。

2.職場に満足を感じている点の1位は「同僚との関係(80.2%)」、不満足を感じている点の1位は「適切な人員配置(69.4%)」

満足を感じる点の上位は、「同僚との関係(80.2%)」、「患者との関係(79.5%)」、「休日・休暇の希望考慮(73.1%)」。一方、不満足を感じる点の上位は「適切な人員配置(69.4%)」、「指導方法のバラつき(65.9%)」、「企業・施設の方針(64.3%)」となった。

最も人数が多い「病院(急性期)」の回答者を対象に、職場に満足を感じている層と不満足を感じている層の違いを分析した。最も差異が出たのは「やりがい(差異:46.2%)」であり、その後は「企業・施設の方針(差異:39.3%)」、「評価制度(差異:37.9%)」、「上司との関係(差異:37.7%)」、「管理職のマネジメント(差異:37.1%)」と続いた。組織の方針・制度の整備や浸透、マネジメント層とのコミュニケーションに課題があることがうかがえる。

3.職場選びの重要ポイントは「勤務時間・体制(58.0%)」が最多

職場選びの重要ポイントの上位は「勤務時間・体制(58.0%)」、「職場へのアクセス(55.7%)」、「給与(43.6%)」となった。

4.前職の退職理由は、「上司との関係に不満がある」が28.1%

「上司との関係に不満がある(28.1%)」、「勤務時間が長い・残業が多い(25.3%)」、「昇進・昇給・給与など処遇面に不満がある(16.5%)」が上位。昨年同様、人間関係への不満が1位という結果になった。

5.今後のキャリア志向は「長く安定的に働きたい」が66.8%

続いて、「明確な意向・希望は無い」が25.1%、「他の医療機関での勤務経験も積みたい」が15.0%。昨年に引き続き安定志向が強い。

6.退職を取りやめるに至った理由の上位は「人間関係が改善された」が40.6%

退職を取りやめるに至った理由については「人間関係が改善された」が40.6%、「異動ができてやりたい仕事ができる環境になった」が31.3%、「勤務時間や休日などの労働条件が改善された」が30.7%だった。年齢層別では21歳~30歳は人間関係の改善で退職を取りやめた割合が大きく(45.6%)、31歳~40歳は労働条件の改善で退職を取りやめた割合が大きい(37.1%)。

7.転職後の働き方の希望は「常勤(日勤のみ)」が58.4%、「常勤(夜勤あり)」は31.6%

転職後の働き方の希望は「常勤(日勤のみ)」が58.4%、昨年(57.0%)から微増。続いて、「常勤(夜勤あり)」が31.6%、「非常勤」が26.4%。

8.転職先の候補は21歳から50歳までは「病院(72.6%~87.9%)」、51歳からは「介護施設(62.4%)」が最多。若年層では一般企業や美容クリニックも候補に

若年層と熟年層で差異あり。熟年層では介護施設の割合が増加し病院を上回る。若年層ほど一般企業や美容クリニックも上位候補にあがる傾向が見られた。

9.入職時のサポートについては3人に2人(66.9%)が十分であると感じているものの、業務マニュアルの整備に課題。属人的なサポートが主となっている可能性を示唆

入職時のサポートについては「手厚いサポートがあった(11.2%)」、「必要なサポートはいただけた(55.7%)」、「ほぼサポートがなかった(13.2%)」、「サポートを不十分と感じた(19.9%)」であり、3人に2人が十分であると回答した。入職時に十分なサポートがあったと感じている層において、有効だと思ったサポートの上位は「同僚からのサポート(52.4%)」、「一通りの業務ができるまでプリセプターがついてくれた(36.9%)」となった。一方、入職時のサポートが不十分だと感じている層が、特に不十分だと感じているのは「業務マニュアルが整備されている(58.0%)」。同僚やプリセプターの属人的なサポートが主となっている可能性を示唆している。

10.就業先への満足度の変化は、よい方向に変化したという回答が51.2%

1年前と比較した就業先への満足度の変化は、「よくなった(15.2%)」、「少しよくなった(36.0%)」、「少し悪くなった(31.8%)」、「悪くなった(17.0%)」。約半数が、よい方向への変化があったと回答し、若干の改善傾向が見えた。

【よくなった理由・悪くなった理由についてのコメント抜粋】

1.新型コロナウイルスに関連するコメント

よくなった理由)

・コロナ禍の忙しい中でも、協力して助け合っていこうとする体制がある。(60代女性/東京都)

悪くなった理由)

・コロナ禍でやりたいことが制限される。メンタルヘルス不調者が増えた。(女性/茨城県)

2.働き方に関するコメント

よくなった理由)

・オペ室の物品管理、器材管理、消耗品準備、滅菌、オペ後の部屋掃除など、全て業者に委託していて、オペが沢山残らない時は定時で帰宅できる点。(40代女性/東京都)

・院内全体で、働き方改革を推進しており、残業が減っていっているので、働きやすくなっている。(30代女性/神奈川県)

悪くなった理由)

・働き方改革と言われているが、よくなったとは思えない。業務内容は増えたり濃くなっているのに就業時間は決められた時間でと言われる。(女性/香川県)

3.人間関係に関するコメント

よくなった理由)

・オンコールや急な勤務変更に対して、雇用者側からの感謝の言葉があること。(女性/沖縄県)

・施設長、副施設長が交代し、相談しやすくなったから。入居者様への関わりについて、担当会議が機能するようになり、多職種と連携できるようになってきたから。(女性/愛知県)

悪くなった理由)

・看護部長や、師長が変わり、上司に相談しにくくなった。チームワークがなくなった。(女性/北海道)

4.モチベーション(やりがい)に関するコメント

よくなった理由)

・病棟異動して、専門的に極めたい分野の患者さんがいる。(40代女性/神奈川県)

・自分が役職になり、上層部の介入がない範囲での業務改善を進めているから。現場の声を聞き、変えられそうな部分は上司プレゼンするなど、地味な活動だが立場が変わったことで少しは変革を起こせていると思う。(40代女性/千葉県)

・子育てに少し余裕が出てきたからか、関心のある看護分野の研修に参加し、自分が今働いている場所で何ができるかを考えながら働くようになった。目的を持って働くことで、やりがいに繋がっていると思う。(40代女性/広島県)

悪くなった理由)

・人数不足で業務が増え、患者さんと向き合う時間が減り、やりがいが減ったため。(30代女性/宮城県)

・スタッフの出入りが頻繁で定着率が悪い。また、医療手技を学べる機会が少なく、スキルアップがし難い。(60代男性/東京都)

5.金銭に関するコメント

よくなった理由)

・給料が確実に上がっているので。仕事に見合った報酬を貰えていると思うので。(40代女性/神奈川県)

悪くなった理由)

・年次が上がることで業務量が増えるものの、給料には反映されない、こなして当たり前という上層部の考え方に不満がある。仕事を頑張っても頑張るだけ心身が疲労するのみで、給料も変わらないうえ達成感や充足感もないこと。(女性/神奈川県)

11.在宅医療に欠かせない訪問看護ステーションでの勤務に関心がある人は全体の39.7%

関心の内容は「在宅医療に社会的な意義を感じるため」が50.4%、「利用者(患者)さんとじっくり向き合えるケアがしたいため」が45.4%、「夜勤がないなど、病院よりも公私のバランスをとりやすいため」が38.8%となった。

【総括】

調査の結果、現在の就業先に対しての満足度は、半数以上(59.2%)が満足しているという結果となり、昨年の調査時(61.0%)と比較すると満足度が微減となりました。満足・不満足を感じる点については昨年と大きな変化は見られず、満足を感じる点の上位は「同僚との関係」、「患者との関係」、「休日・休暇の希望考慮」、不満足を感じる点の上位は「適切な人員配置」、「指導方法のバラつき」、「企業・施設の方針」となりました。これらは看護師の職場への満足、不満足を決定する普遍的な要因であることがわかります。

前職の退職理由については、「上司との関係に不満がある」、「勤務時間が長い・残業が多い」、「昇進・昇給・給与など処遇面に不満がある」が上位となりました。

また、退職を取りやめたことのある人を対象とした、退職を取りやめた理由の上位は前年同様、「人間関係が改善された」でしたが、「異動ができてやりたい仕事ができる環境になった」が昨年の3位(24.5%)から2位(31.3%)に浮上しました。

退職抑止には昨年と変わらず人間関係の改善、特に上司との関係性が鍵と考えられますが、社内異動を活用し、やりたい業務につくことで退職を回避している層も増えていることがわかりました。

1年前との就業先への満足度の変化を問う質問には51.2%がよくなったと回答しました。

よくなった点・悪くなった点の双方で病棟再編や働き方改革など、各施設の施策についてさまざまな意見を確認することができ、新型コロナウイルス感染拡大による劇的な変化の時期を脱した様子がうかがえました。

今回新たに追加した入職時のサポートに関する質問では、3人に1人が入職時のサポートに不十分さを感じているという結果になりました。具体的な理由としては約6割が、業務マニュアルが整備されていたほうがよかったと回答しており、入職時のサポートについてはまだ課題があることが浮き彫りになりました。

転職先の候補については、全年齢において、病院、介護施設、クリニックが上位となりましたが、年齢層別の集計では21歳から50歳までは病院が最多であり、51歳からは介護施設が最多となりました。自身の年齢や、近親者への介護経験などにより介護施設への意向が高まっている実態がうかがえます。また、21歳から30歳までは一般企業や美容クリニックが転職先候補として上位にあがる結果となりました。求職者にとっては転職先の選択肢が広がり、活躍の機会が増えている一方、事業者にとっては採用難易度が上がっていることがうかがえ、職場環境や処遇の改善などの対策を講じる必要性がさらに高まったと考えられます。

最も回答者が多かった急性期病院の勤務者を対象に、定着についての対策という観点で、満足に感じている層とそうでない層の差異が大きい項目ほど、満足度を向上させるために重要な事柄であると仮定し分析しました。満足を感じている人の割合で最も差異が大きい項目は「やりがい」であり、その後は「企業・施設の方針」、「評価制度」、「上司との関係」、「管理職のマネジメント」と続きました。上位5位のうち、4つは組織、上司などの関連項目であり、職場への満足度を左右する要素は組織の方針・制度の整備や浸透、マネジメント層とのコミュニケーションの重要性が高いことが示唆されています。

【調査結果詳細】

1.職場に満足を感じている看護師は約6割(59.2%)

Q.(現在勤務している方への調査)現在の就業先に対する満足度で最も近いものをお選びください。

(n=16,403)

「満足」が10.6%、「まあ満足」が48.6%、「やや不満」が28.4%、「不満」が12.4%。

2.職場に満足を感じる点の1位は「同僚との関係(80.2%)」、不満足を感じる点の1位は「適切な人員配置(69.4%)」

Q.(現在勤務している方への調査)現職における以下の項目について「満足」「不満足」で教えてください。(n=16,403)

満足を感じる点の上位は、「同僚との関係(80.2%)」、「患者との関係(79.5%)」、「休日・休暇の希望考慮(73.1%)」。一方、不満足を感じる点の上位は「適切な人員配置(69.4%)」、「指導方法のバラつき(65.9%)」、「企業・施設の方針(64.3%)」となった。

Q.(現在急性期病院に勤務している方への調査)現職における以下の項目について「満足」「不満足」で教えてください。(n=5,214)

最も人数が多い「病院(急性期)」の回答者を対象に、職場に満足を感じている層と不満足を感じている層の違いを分析した。最も差異が出たのは「やりがい(差異:46.2%)」であり、その後は「企業・施設の方針(差異:39.3%)」、「評価制度(差異:37.9%)」、「上司との関係(差異:37.7%)」、「管理職のマネジメント(差異:37.1%)」と続いた。組織の方針・制度の整備や浸透、マネジメント層とのコミュニケーションに課題があることがうかがえる。

3.職場選びの重要ポイントは「勤務時間・体制(58.0%)」が最多

Q.(現在勤務している方への調査)現職を選んだ時に重視したポイントについて、当てはまるものを全て選んでください。(n=16,403)

職場選びの重要ポイントの上位は「勤務時間・体制(58.0%)」、「職場へのアクセス(55.7%)」、「給与(43.6%)」となった。

4.前職の退職理由は、「上司との関係に不満がある」が28.1%

Q.(退職経験のある方への調査)前職の退職理由について、当てはまるものをすべて選択してください。(n=15,812)

「上司との関係に不満がある(28.1%)」、「勤務時間が長い・残業が多い(25.3%)」、「昇進・昇給・給与など処遇面に不満がある(16.5%)」が上位。昨年同様、人間関係への不満が1位という結果になった。

5.今後のキャリア志向は「長く安定的に働きたい」が66.8%

Q.今後のキャリアの志向について教えてください。(n=19,335)

続いて、「明確な意向・希望は無い」が25.1%、「他の医療機関での勤務経験も積みたい」が15.0%。昨年に引き続き安定志向が強い。

6.退職を取りやめるに至った理由の上位は「人間関係が改善された」が40.6%

Q.(転職活動を開始して取りやめた経験があり、かつ、退職理由が改善された人への調査)(退職理由が)改善された内容について、当てはまるものをすべて選んでください。(n=739)

退職を取りやめるに至った理由については「人間関係が改善された」が40.6%、「異動ができてやりたい仕事ができる環境になった」が31.3%、「勤務時間や休日などの労働条件が改善された」が30.7%だった。

年齢層別では21歳~30歳は人間関係の改善で退職を取りやめた割合が大きく(45.6%)、31歳~40歳は労働条件の改善で退職を取りやめた割合が大きい(37.1%)。

7.転職後の働き方の希望は「常勤(日勤のみ)」が58.4%、「常勤(夜勤あり)」は31.6%

Q.(現在、就職・転職を希望している人への調査)転職したら、どのような働き方をしたいですか。当てはまるものをすべて選択してください。(n=12,669)

転職後の働き方の希望は「常勤(日勤のみ)」が58.4%、「常勤(夜勤あり)」が31.6%、「非常勤」が26.4%。「常勤(日勤のみ)」を希望する割合は昨年(57.0%)から微増。

8.転職先の候補は21歳から50歳までは「病院(72.6%~87.9%)」、51歳からは「介護施設(62.4%)」が最多。若年層では一般企業や美容クリニックも候補に

Q.(現在、就職・転職を希望している人への調査)転職したら、どのような施設で働きたいですか。当てはまるものをすべて選択してください。(n=12,669)

若年層と熟年層で差異あり。熟年層では介護施設の割合が増加し病院を上回る。若年層ほど一般企業や美容クリニックも上位候補にあがる傾向が見られた。

9.入職時のサポートについては3人に2人(66.9%)が十分であると感じているものの、業務マニュアルの整備に課題。属人的なサポートが主となっている可能性を示唆

Q.(現在勤務している方への調査)現職に入職した時のサポートは十分であったか、教えてください。(n=16,403)

入職時のサポートについては「手厚いサポートがあった(11.2%)」、「必要なサポートはいただけた(55.7%)」、「ほぼサポートがなかった(13.2%)」、「サポートを不十分と感じた(19.9%)」であり、3人に2人が十分であると回答した。

Q.(入職時のサポートが十分であったと回答した方への調査)具体的にどのようなサポートが有効だったか、教えてください。当てはまるものをすべて選択してください。(n=10,970)

入職時に十分なサポートがあったと感じている層において、有効だと思ったサポートの上位は「同僚からのサポート(52.4%)」、「一通りの業務ができるまでプリセプターがついてくれた(36.9%)」となった。

Q.(入職時のサポートが不十分であったと回答した方への調査)どのようなサポートがあるとよかったでしょうか。当てはまるものをすべて選択してください。(n=5,433)

入職時のサポートが不十分だと感じている層が、特に不十分だと感じているのは「業務マニュアルが整備されている(58.0%)」。同僚やプリセプターの属人的なサポートが主となっている可能性を示唆している。

10.就業先への満足度の変化は、よい方向に変化したという回答が51.2%

Q.(現在勤務している方への調査)1年前と比較した就業先への満足度の変化について最も近いものを教えてください。(n=16,403)

1年前と比較した就業先への満足度の変化は、「よくなった(15.2%)」、「少しよくなった(36.0%)」、「少し悪くなった(31.8%)」、「悪くなった(17.0%)」。約半数が、よい方向への変化があったと回答し、若干の改善傾向が見えた。

11.在宅医療に欠かせない訪問看護ステーションでの勤務に関心がある人は全体の39.7%

Q.(訪問看護ステーションでの勤務に関心がある方への調査)訪問看護ステーションに対する関心について最も近いものをお選びください。(n=7,668)

関心の内容は「在宅医療に社会的な意義を感じるため」が50.4%、「利用者(患者)さんとじっくり向き合えるケアがしたいため」が45.4%、「夜勤がないなど、病院よりも公私のバランスをとりやすいため」が38.8%。在宅医療に社会的意義を感じ、患者に向き合うケア、夜勤のない働き方などに興味関心を抱いていることがうかがえる。

■調査概要

「看護師の働き方に関する意識調査」

・実施期間:2022年12月13日(火)~2022年12月27日(火)

・調査対象:「ナース人材バンク」、「ナース専科」を利用している看護師

・回答総数:19,335名

・調査方法:Webを使用したアンケート

※調査の詳細に関しては別途資料がありますので、お問い合わせください

※前回の調査はこちら

URL:

https://www.bm-sms.co.jp/news-press/prs_20220203_nurse-research/

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