医療用HAL、脊髄疾患(HTLV-1関連脊髄症(HAM)および遺伝性痙性対麻痺)の適応追加に係る保険適用のお知らせ

CYBERDYNE株式会社(本社:茨城県つくば市、代表取締役社長:山海嘉之)は、HAL医療用下肢タイプ(一般的名称:生体信号反応式運動機能改善装置、以下、「医療用HAL(R)」)について、脊髄疾患に関して、HTLV-1関連脊髄症

(以下、「HAM」) (※1)および遺伝性痙性対麻痺

(※2)の2疾患については昨年10月に適応追加の承認を取得しておりましたが、この度、2023年10月1日付けで厚生労働省より保険適用の通知が発出されましたので、お知らせします。

脊髄疾患の適応追加については、NCY2001試験

(※3)で得られた臨床試験データに基づき、2021年に原因が異なる脊髄病変による痙性対麻痺(ウィルス性疾患であるHAMおよび遺伝子異常に基づく遺伝性痙性対麻痺)の適応追加に係る製造販売承認事項一部変更承認申請を行い、2022年10月に承認されました。当社はそれを受けて、HAMおよび遺伝性痙性対麻痺患者さんに医療用HALによる治療を行った際に各医療機関で診療報酬算定ができるように保険適用に係る手続きを進め、この度当該疾患に対しても保険適用されるという通知が発出されました。

現在進めております適正使用ガイドの改訂が完了し次第、既に保険収載されている進行性神経・筋難病疾患

(※4)と同様に脊髄疾患(HAMおよび遺伝性痙性対麻痺)の患者さんに対して、医療用HALによる治療を行った際に各医療機関は以下の診療報酬が算定できるようになります。

J118-4 歩行運動処置 (ロボットスーツによるもの) (1日につき) 1100点

この度の保険収載により、日本に全国で推定4500名とされる脊髄疾患(HAM及び遺伝性痙性対麻痺)患者さんに対する新しい治療の選択肢として医療用HALの普及を加速させると共に、世界でも医療用HALをこれらの脊髄疾患に対する標準治療として確立する取り組みを推進します。

< 国立病院機構新潟病院院長 中島孝医師のコメント>

今回の保険適用追加により、HAMおよび遺伝性痙性対麻痺に対しても、「J118-4 歩行運動処置

(ロボットスーツによるもの)」の保険点数の適用が決定されました。これにより、HAL医療用下肢タイプの使用で算定できる疾患は、進行性神経・筋難病の8疾患に合わせて10疾患となり、対応できる病変部位も運動単位領域から脊髄領域までひろがりました。

今回、脊髄に病変部位を持つHAMおよび遺伝性痙性対麻痺患者が保険診療としてこの治療法を享受し、歩行・移動機能に関する日常生活の質を改善することが可能となったことは大変素晴らしいことです。これは日本の難病対策

(HTLV-1対策も含む)の成果と言えますが、医師主導治験としておこなった臨床試験において、研究者・専門医療機関とHAM患者団体等が共同でこのプロジェクトに取り組めた証でもあります。

この保険適用は臨床試験 (NCY-2001試験)結果

(エビデンス)に基づくものであり、今後、ニーズの高い海外での公的保険適用拡大の大きな根拠になると考えられます。さらに、将来、HAMのウイルス学的な治療法開発や遺伝性痙性対麻痺の遺伝医学的治療法開発が進めば、それらとHALとを複合することにより、更なる臨床効果を狙うことが可能と考えられます。これらの分野を含めて、多方面の研究開発が現在期待されています。

※1 HTLV-1関連脊髄症(HAM):

患者数が全国で推定3000名の希少疾患で、指定難病26の対象疾患となっています。脊髄が次第に傷害されることで、歩行困難、排尿・排便障害、足のしびれや痛みなどの症状が進行し、最終的には車いすや寝たきりの生活を余儀なくされる難病で、深刻な生活の質の低下を引き起こします。

※2 遺伝性痙性対麻痺:

痙縮を伴って筋力の低下が徐々に脚部にあらわれるごく稀におこる遺伝性の病気で、指定難病18(多系統萎縮症を除く脊髄小脳変性症)の項目内の対象疾患となっています。どの年齢でも発症する可能性があり、両下肢の腱反射や筋緊張の亢進、麻痺がおこるために歩行が困難となってきます。

※3 NCY-2001試験

H24~H26年度 厚生労働省科学研究費補助金

難治性疾患実用化研究事業、「希少性難治性疾患-神経・筋難病疾患の進行抑制治療効果を得るための新たな医療機器、生体電位等で随意コントロールされた下肢装型補助ロボット

(HAL-HN01)に関する医師主導治験の実施研究」 (研究代表者 中島孝)の一部及び、H27~H30年度 国立研究開発法人日本医療研究開発機構 (以下、

「AMED」)研究費 難治性疾患実用化研究事業「希少難治性脳・脊髄疾患の歩行障害に対する生体電位駆動型下肢装着型補助ロボット

(HAL-HN01)を用いた新たな治療実用化のための多施設共同医師主導治験の実施研究」 (研究代表者

中島孝)において、医師主導治験として、国立病院機構新潟病院、聖マリアンナ医科大学病院、京都府立医科大学附属病院、福岡大学病院、国立病院機構徳島病院、筑波大学附属病院、鹿児島大学医学部・歯学部附属病院

霧島リハビリテーションセンター、

国立病院機構村山医療センターにおいて実施したものです。当社は厚生労働省科学研究費補助金の研究分担者として、さらに、国立病院機構新潟病院がAMEDと2017年4月1日付で締結した委託研究開発契約に基づく国立病院機構新潟病院

(研究代表者 中島孝)からの委託研究開発として参加しました。(jRCT1092220257, jRCT1092220204)*

* jRCT1092220257:

https://jrct.niph.go.jp/en-latest-detail/jRCT1092220257

*jRCT1092220204:

https://jrct.niph.go.jp/en-latest-detail/jRCT1092220204

※4 進行性神経筋難病 (8疾患):

脊髄性筋萎縮症 (SMA)、球脊髄性筋萎縮症 (SBMA)、筋萎縮性側索硬化症

(ALS)、シャルコー・マリー・トゥース病、遠位型ミオパチー、封入体筋炎、先天性ミオパチー、筋ジストロフィー

以 上

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