城山三郎『そうか、もう君はいないのか』の感動が再び! 日本を代表する社会学者・加藤秀俊さんが亡き妻に綴る、最後のラブレター。

日本を代表する社会学者・加藤秀俊さんが亡き妻に綴る、最後のラブレター。

株式会社新潮社は2023 年12月25日、加藤秀俊さんの文庫最新刊『九十歳のラブレター』を刊行します。

加藤先生は日本を代表する社会学者です。日本社会が中間層を担い手とする文化の時代になったとする「中間文化論」で反響を呼び、1962年に中公新書が創刊された際には、「刊行のことば」を執筆されました。この「ことば」は現在も中公新書の巻末に掲載されています。

2019年9月16日の朝、加藤先生は60年あまり寄り添った最愛の奥様を突然亡くされました。〈とてもかなしいできごと、そしてその後のぼくの人生を根底から変えてしまったできごとからはじめなければならない。〉本書はこの一文から始まります。お二人は小学校の同級生として出会い、結婚し、ずっと寄り添って生きてきました。

しかし〈あんなに仲よくしていたのに、いまはおたがい生死をわかつ途方もない暗く厚い壁にさえぎられてしまっているのである。もう、あなたはいない。〉加藤先生は奥様がいないという現実をなかなか受け入れられません。〈ぼくはまったく不可解な世界にひきこまれていた。なにがどうなっているのか、すべての分別がつかないまま、ほとんど夢のなかをさまよっているようで、なにもかも現実とは思えなかった〉のですが、年が明けて、友人に奥様が亡くなった報せををやっと出せたときに、奥様との素晴らしい日々が激しく思い出されました。せつなく、いとおしいものすべてを書き残そうと本書を執筆されたのです。

加藤先生は2023年の9月、亡くなられました。93歳でした。本書は『整理学』『取材学』など多くの本を執筆された加藤先生の最後の本となりました。

■著者略歴

加藤秀俊(かとう・ひでとし)

東京生れ。社会学博士。一橋大学卒業後、米ハーバード大学などで学ぶ。米アイオワ州立大学、京都大学等で教鞭を執り、学習院大学教授、放送大学教授、日本育英会会長などを歴任。20代で発表した「中間文化論」が話題を呼び、社会論を中心に論壇でも活躍。梅棹忠夫、小松左京らと大阪万博のブレーンとなり、「日本未来学会」結成にも尽力した。『加藤秀俊著作集(全12巻)』『整理学』『取材学』『社会学』『暮しの思想』『独学のすすめ』など著書多数。訳書にリースマン『孤独な群衆』、ウォルフェンスタイン&ライツ『映画の心理学』(加藤隆江との共訳)などがある。

■書誌情報

【書名】 九十歳のラブレター(新潮文庫刊)

【著者】 加藤秀俊

【発売日】 2023年12月25日、電子書籍も同日配信開始

【定価・電子書籍の希望小売価格】 605円(税込)

【ISBN】 978-4-10-104851-2