協和発酵バイオとシンガポール科学技術研究庁(A*STAR)が、ヒトミルクオリゴ糖における健康機能の解明に向けた共同研究を開始

キリンホールディングス株式会社(社長 磯崎功典)の子会社である協和発酵バイオ株式会社(社長

神崎夕紀、以下協和発酵バイオ)は、シンガポールにおける最大の研究開発・科学技術開発振興機関であるシンガポール科学技術研究庁(Webサイト

https://www.a-star.edu.sg

以下、A*STAR)と共同で、ヒトミルクオリゴ糖(Human Milk Oligosaccharide

以下、HMO)を用いた共同研究を2023年11月から開始しました。

■HMOとは

HMOは、母乳に含まれるオリゴ糖※1の総称で、母乳に含まれる固形成分の中で、ラクトース、脂質に次ぐ、三番目に多い成分です。これまでに200種類以上のHMOが母乳から発見されています。牛乳や他哺乳類由来の乳にはほとんど含まれず、特にヒトの初乳に多く含まれることから、乳幼児にとって重要な成分であることが知られています。

※1 数個の単糖が結合した糖類。HMOは主にグルコース、ガラクトース、フコース、N-アセチルグルコサミン、N-アセチルノイラミン酸によって構成される。

■研究の背景・研究内容

HMOは、これまでの研究から乳児の重要な母乳成分としてだけでなく、腸や免疫、脳に対する「機能性成分」としての働きが期待されており、欧米では主に乳幼児を対象とした複数の臨床研究も進んでいます。

※2一方で、アジア圏の成人を対象とした研究は少ないことから、アジア圏におけるHMO研究開発をリードし、タイにHMOの製造工場を持つ協和発酵バイオと、アジア圏での大規模出生コホート研究※3を行い、健康と栄養に関連する豊富な臨床研究の経験があるA*STARのシンガポール臨床科学研究所(Singapore

Institute for Clinical Sciences、以下A*STAR

SICS)が共同で臨床研究を実施することになりました。HMO摂取による腸内細菌叢への影響が腸内環境にどのような変化をもたらすのか、またHMOが免疫機能に対してどのような効果をもたらすのかなどを明らかにすることで、より多くのお客様にHMOを通じた新たな健康価値の提供を目指します。

※2 Nutrients. 2023 15(3):719. Front Pediatr. 2018 6:91.

※3

出生コホート研究は、母親の妊娠届時から親子を追跡調査し、有害環境因子等を評価することで、次世代を担う子ども達の健やかで健康な成長発達に寄与し、また今後の母子保健や予防医学への一助を目的とするもの

■研究者コメント

協和発酵バイオ株式会社

経営企画部 中崎 瑛里

A*STARとの国際的な産学連携により、HMOの健康効果が科学的に解明されることが、アジア圏のあらゆる年齢の方々に健康価値をもたらす原動力になることを確信しています。

A*STAR SICS

Professor. Jeroen Schmitt

我々は、協和発酵バイオとのパートナーシップに基づき、この先駆的な研究を開始することを嬉しく思います。HMOの新たな価値創造を通して、人々の健康の向上に貢献します。

キリングループは長期経営構想「キリングループ・ビジョン2027」を策定し、「食から医にわたる領域で価値を創造し、世界のCSV※4先進企業になる」ことを目指しています。その実現に向けて、既存事業の「食領域」(酒類・飲料事業)と「医領域」(医薬事業)に加え、キリングループが長年培ってきた高度な「発酵・バイオ」の技術をベースにして、人々の健康に貢献していく「ヘルスサイエンス領域」(ヘルスサイエンス事業)を立ち上げ、育成を進めています。ヘルスサイエンス領域では、「免疫」および「脳機能」などを重点領域に定め、さまざまな研究開発を行っています。

キリングループは、自然と人を見つめるものづくりで、「食と健康」の新たなよろこびを広げ、こころ豊かな社会の実現に貢献します。

※4 Creating Shared Valueの略。お客様や社会と共有できる価値の創造。

キリン

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