自動車産業の好調が全体を牽引、円安も追い風 原燃料高の価格転嫁が広い業種でプラス効果

原燃料高の価格転嫁が広い業種でプラス効果 最新決算を踏まえて四季報が全社の業績を独自に予想

3月期決算会社の2024年3月期第3四半期決算が出そろいました。株式会社東洋経済新報社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:田北浩章)では、業界担当記者が決算発表を受けて取材を行い、全上場会社について独自に今期、来期の業績予想を見直しました。

会社四季報春号の予想を集計した結果、今期(24年1月期~24年12月期、対象3623社)の予想営業利益は、全産業で15.4%増加する見通しとなりました。前号の会社四季報新春号(23年12月発刊)との比較では、予想営業利益の合計は0.8%下振れています。

業種別では、今期予想の営業利益率が9.9兆円と最も大きい自動車等の輸送用機器が前期比63.8%増益と好調です。新車需要が堅調に推移する中、原材料高の価格転嫁が進展したことに加えて、半導体不足の解消による操業度向上や円安も業績を押し上げる要因になっています。

電気・ガス業では高騰した燃料コストの料金転嫁が進み、増益率は全業種で最も高い前期比16.5倍を見込んでいます。旅客の増加などを受けて、JRや私鉄などの鉄道大手を中心に陸運業も39.4%増益、空運業は76.5%増益と好調です。

一方で、予想営業利益額6.5兆円と全業種の中で2番目に額が大きい情報・通信業は前期比10.3%増益を見込みますが、前号の会社四季報新春号からは8.7%の下振れとなりました。前期赤字から今期は営業黒字化する見通しのソフトバンクグループで、損益改善幅が前号の新春号よりも縮小したことなどが影響しました。電気機器や化学も前号から下振れています。

市場別では、東証プライム・名証プレミアの企業は15.5%の営業増益、SaaS関連など新興企業が多い東証グロース・名証ネクストは53.8%の営業増益見通しです。

コロナ禍の収束でインバウンド回復など経済活動が活発になっていることや、原燃料高の価格転嫁が順調に進んでいることが多くの業界で業績にプラスになっています。一方で、中国経済の減速や今秋に控えた米国大統領選に関する動向には注視が必要です。日本銀行が今春にもマイナス金利政策を解除するとの見方も広がっています。

(注)業種別、市場別業績集計の算出方法

『会社四季報 2024年2集

春号』掲載会社で、今期・来期の予想および実績2期分がある企業の業績を集計。実績・予想とも連結決算の数値を優先。ただし、決算期変更企業、連結決算方式変更企業、上場企業の子会社は除く。銀行、保険の営業利益は集計していない。

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