第14回日経小説大賞 中上竜志氏の「散り花」に

第14回日経小説大賞(日本経済新聞社・日経BP共催)の受賞作が決まり、 中上竜志氏(44)の「散り花」が受賞しました。

かつての輝きが薄れつつあるプロレスの世界でも身体を張って闘い続ける男たちの生きざまを、 ひとりの中堅レスラーを主人公に描いた作品で、

リング上で繰り広げられる格闘シーンの描写がとりわけ高く評価されました。

授賞式は2023年2月24日、東京都千代田区の日本経済新聞社東京本社にて行います。受賞作は23年2月に日本経済新聞出版から単行本として出版します。

1.選考委員辻原登、高樹のぶ子、角田光代の3氏

2.賞金500万円

3.第14回受賞者

中上竜志(なかがみ・りゅうし)氏=写真

1978年生まれ。奈良県出身。高校卒業後、様々な職業を経て、現在は自営で住宅関係の仕事に従事。小説執筆歴は10年余り。

4.受賞作の内容

「散り花(ちりばな)」

プロレス国内最大のメジャー団体に所属する立花は33歳。入門5年目で海外武者修行に抜擢されるなど将来を嘱望されていたが、今ではスター選手を引き立てる中堅のひとりに甘んじている。凱旋帰国直後の“事故”が立花から覇気を奪ってしまっていた。しかし「自分が持つものすべてをぶつける試合をしていない」という思いは熾火のようにくすぶっていた。タイトル挑戦権のかかった試合で、スター候補の若手に負けることを求められた立花は、衝動に駆られ、押し殺していたものを解き放ってしまった。血が騒いでいた……。虚実入り交じるプロレス界の輝きが薄れつつある中でも、リング上で身体を張って闘い続ける人たちの生きざまを、乾いた筆致で描き切った格闘技小説。

5.応募状況22年4月から6月にかけて募集。応募作品数は285点

《過去の受賞作》

第1回(2006年10月) 武谷 牧子氏 「テムズのあぶく」

第2回(2008年10月) 萩 耿介氏 「松林図屏風」

第3回(2011年10月) 梶村 啓二氏 「野いばら」

第4回(2012年12月) 長野 慶太氏 「神様と取り引き」(出版時は「神隠し」)

第5回(2013年12月) 芦崎 笙氏「スコールの夜」

第6回(2014年12月) 紺野 仲右ヱ門氏「女たちの審判」

第7回(2015年12月) 西山 ガラシャ氏「公方様のお通り抜け」

第8回(2016年12月) 太田 俊明氏「姥捨て山繁盛記」

第9回(2017年12月) 赤神 諒氏「義と愛と」(出版時は「大友二階崩れ」)

第10回(2018年12月)佐伯 琴子氏「狂歌」

第11回(2019年12月)夏山 かほる氏「新・紫式部日記」

第11回(2019年12月)湊 ナオ氏「東京普請日和」

第12回(2020年12月)天津 佳之氏「利生の人 尊氏と正成」

第13回(2021年12月)夜弦 雅也氏「高望の大刀」

※年月は発表時点、第11回は2作同時受賞。

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